LiLICoオススメ「肉食シネマ」 お母さんだって、1人の女性なんです 『20センチュリー・ウーマン』

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 お母さんだって、1人の女性なんです 『20センチュリー・ウーマン』

(提供:週刊実話)

 暑い! 外回り営業の皆さん、本当にお疲れ様です。仕事の後には、涼しい映画館に行きましょう!

 今回は、家族のことを考えようと思い、マイク・ミルズ監督の作品を選んでみました。私たちにとって両親とは、お父さんとお母さんっていう“立場”であって、大人になって初めて、両親にも私たちが生まれる前の人生があったことに気付き始めます。私は、この映画に出てくるお母さん、ドロシア(アネット・ベニング)が大好き。着ているブラウスの色合いにもホレボレ! アネット・ベニングの演技は自然過ぎるほど自然! そして、息子のジェイミーの友だち以上、恋人未満の関係を続けるジュリーを、エル・ファニングが演じています。
 ミルズ監督は完璧なお母さんを描きたくなかったそうで、確かに自由な育て方ではありますが、私から言わせると、こんなお母さんなら、絶対にしっかりした息子になること間違いなし。
 シングルマザーが、どう15歳の息子と接するか悩んだとき、選んだ道は奇妙な出入り自由の共同生活スタイルでした。おかげで息子の成長は早く、失敗や脱線を繰り返しながら大人の階段を確実に上っていきます。
 70年代の雰囲気に酔える背景にはお母さんの若い時代も反映されていて、改めてお母さんを1人の女性として尊敬し、過去を知りたくなります。

 実は、私は母と仲が悪く、亡くなるまで仲直りすることはなかった。とても悔しいです。突然の死は私たち家族にとって大きく、数年経つのにいまだに理解できない所もあります。だからこそ、父から母のお葬式のときに聞いた話は新鮮でした。バックパッカーで旅していた母との初デート。酔っ払ってテーブルの上で踊ったり、公園で寝泊まりして顔じゅう蚊に刺され、待ち合わせた父と会っても誰だか分からなかったりなど、今までまったく聞いたことのない話ばかり。“な〜んだ、あんなに仲の悪かった母って結構、私に似てるかも!”と、ちょっと微笑ましかったです。こんな生活スタイルはなかなか日本では考えられないかもしれませんが、両親への思いは、どこの国や文化でも変わらない。
 『人生はビギナーズ』では父親、今回は母親の話を映画化した監督の次回作は“飼ってる犬を主人公にする”と、お会いしたときに冗談で言ってたけど、ぜひとも実現してほしいです(笑)。
 その世界観に、ずっと酔える最高の1本です。

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■『20センチュリー・ウーマン』
監督/マイク・ミルズ
出演/アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、ルーカス・ジェイド・ズマン、ビリー・クラダップ
配給/ロングライド

 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開中。

 『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督が、自身の母親をテーマに描いたヒューマンドラマ。1979年、カリフォルニア州南部にある町サンタバーバラ。息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)を女手一つで育てるドロシア(アネット・ベニング)は、思春期を迎える彼をどう教育したらいいか悩んでいた。そこで、ルームシェアする写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)と、ジェイミーの幼馴染のジュリー(エル・ファニング)に、息子の成長を手助けしてほしいと頼む。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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