話題の1冊 著者インタビュー 樺沢紫苑 『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』 大和書房 1,500円(本体価格)

 ――日本の企業ではいまだに“残業して当たり前”といった風潮が見受けられます。時間の効率的な使い方として、根本的に何が間違っていると思いますか?

 樺沢 毎日、18時までにすべての仕事を終了させて帰社する―。それで、給料が今と同じだけもらえるならば、その方がよくないですか? そんなことは無理だ、ということが常識とされています。でも会社全体、そして社員一人ひとりが意識して仕事効率を上げれば、定時の帰社は可能です。
 実際に社員の就業時間を制限した方が、企業業績がアップした事例もたくさん出ています。高度経済成長時代は、終身雇用が保証されていましたから「会社のため」に尽くすことは、そのまま「自分のため」に直結しました。
 しかし、今は非正規雇用が多くなり、転職も当たり前の時代です。いつまで勤めるか分からない会社に、自己犠牲を強いて働いても、得られるものは少ないでしょう。
 転職時代に生き残るためには、読書をしたり、勉強会に参加したりという「自己投資」が必須です。「毎日2時間の残業をする人」と「毎日2時間、自己投資のための勉強をする人」、10年後、どれだけの差がつくかは明らかです。

 ――テレビを見ると集中力が低下するそうですが、最近のネット記事や動画、SNSなどはどのように活用したらよいでしょうか?

 樺沢 どうしても見たい番組や動画、ネット記事があるならば、見てもいいと思います。しかし、ほとんどの人はそれほど興味もないテレビをダラダラと見て、必要のないネット記事をなんとなく読んでいるのではないでしょうか? スマホに時間を費やしてハッピーであるのならばよいのですが、電車でスマホをいじっている人の顔を見ると、みんな口角が下がってつまらなそうな顔をしています。
 テレビやスマホに限りませんが、時間は「本当に楽しいこと」のために能動的に使うべきだと思います。まずは自分と向き合う時間を持ちましょう。そして、できれば「読書をする」という行為を継続する。それが自分探しの最も効率的な方法だと思います。

 ――サラリーマンが時間術を有効にするために、最低限すべきことは?

 樺沢 「制限時間を決めて仕事をする」「さっさと仕事を終わらせて“自分”や“家族”のために時間を使う」「将来の自分のために“学び”の自己投資をする」「毎日6時間以上の睡眠」です。特に睡眠不足は、慢性的な仕事効率の低下に繋がりますので、十分に注意してください。
(聞き手/程原ケン)

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家。1965年、札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。ネット媒体を駆使し、累計40万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識、情報を分かりやすく発信している。

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