話題の1冊 著者インタビュー 沖中東心 『烈侠外伝 秘蔵写真で振り返る加茂田組と昭和裏面史』 サイゾー 1,200円(本体価格)

 ――本書は超武闘派組織としてならした「加茂田組」にまつわる数々の逸話が記されています。山口組と一和会の抗争時はどんな様子でしたか?

 沖中 加茂田組が山口組を飛び出すことになったからといって、組自体は取り立てて変わることはなかったです。そもそも親分が決めたことは絶対ですから。抗争時、組員はほぼ全員、普段から拳銃を持ち歩いていました。ある時、幹部から敵方を「殺ってこい」という命令を受けました。自分の思いはどうであれ、上からの指示は絶対です。
 けれど、いざ相手を撃つ時はなるべく脚を狙おうと思っていましたね。本当に殺したら懲役が長くなってしまう(笑)。結局、1日張り込みましたが相手は現れず、計画は中止となりました。今思えば不幸中の幸いだったといえるでしょう。

 ――菱と芸能人にまつわる交友と禁断の写真には驚かされます。芸能人との思い出は何かありますか?

 沖中 今の時代はヤクザと芸能界との関係はご法度とされていますが、当時は普通にありました。そもそもヤクザを通さないと芸能人は興行を打つことができませんでしたから。
 実際に地蔵盆や結婚式などで、松平健や菅原文太らに会いました。松平健からはやぐらの上でサインをもらったことを覚えています。菅原文太はハジけた感じの人物で、よく下ネタを言いながら飲んでいました。今となっては、当時ならではの交流だったといえるでしょう。

 ――現在も山口組の分裂騒動が続いています。かつての山一抗争を経験した身として、どう思われますか?

 沖中 当時の状況と今とではやはり違います。田岡組長の死後、加茂田組は山口組と袂を分かつことになったわけですが、それは四代目竹中組長を支持できないという理由からです。現在のような上納金を巡る金銭的なトラブルとは全く違いますね。今、カタギになった身分で内情をよく知るわけではありませんが、どうも親分子分の間の信頼感がなくなりつつあると思います。当時、上の者は、下から金を巻き上げるようなことはしませんでしたし、すべてがビジネスライクになっているように感じます。昔から金を持っているやつはいましたが、うらやましさの反面、どこか冷めて見ていましたね。
 組は家族であり、義理と情でつながるのがヤクザです。自分の親は日本一と思っていましたが、今はヤクザというより外国のマフィアのような感じがします。現在の抗争は、下の者からしたら複雑な感情があると思いますね。
(聞き手/程原ケン)

沖中東心(おきなか・とうしん)
元加茂田組系二次団体若頭補佐。その後、移籍しカタギとなる。本書では80年代の加茂田組の栄枯盛衰を、身をもって体験した実録手記として寄稿している。

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