やくみつるの「シネマ小言主義」 知らなかった! マクドナルド誕生の裏話 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

やくみつるの「シネマ小言主義」 知らなかった! マクドナルド誕生の裏話 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

(提供:週刊実話)

 世界中で隆盛を遂げているマクドナルド誕生の裏には、こんな「軒を貸して母屋を乗っ取られる」的なドラマが隠されていたとは!
 自分は、今も日常的にマックを宅配でとるくらいあの味が好きでして、これまでどれだけ食したことか。なので、ことさら興味深く、面白く見ました。というか、実のところ、マックのディープな負の歴史が語られるという触れ込みでしたので、まさか“マックの肉は◯◯の肉”みたいな噂の真相なのか!? と思って見始めたら、そうではなかったのでひと安心。

 さて、主人公であるシェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロックが初めてカリフォルニア州で出会った頃の元祖マクドナルドって、家族みんなで食べる健康食を出す品質にこだわった店だったんですね。ただ、客を待たせない合理的な「スピード・サービス・システム」や、コスト削減の考え方は当時、すでにあったのです。
 しかし、たまたまセールスで訪れたレイが最も着目し、今日のようなフランチャイズビジネス化を目論む一番の目のつけどころは、その画期的なシステムではありません。
 それが何なのかは、見てのお楽しみですが、「真の創業者」=「ファウンダー」であるディック&マック兄弟でも気づかない点だったからこそ、レイ自ら、自身を「ファウンダー」と名乗るようになるわけです。

 50代の冴えないオッサンが、一代でマクドナルド帝国を築き上げるアメリカンドリーム話というのでもなく、きれいごとではすまされない成功の光と陰がしっかりと描かれていて、見応えがありましたね。
 とにかく、レイが隠れた価値を見出せなければ、遠い日本に住む自分がこんなにマックを食べることはなかったわけで、かくも歴史というのは「もし〜だったら」という偶然に左右されているのだな、と痛感させられます。もしあのとき、ホリエモンがフジテレビを乗っ取っていたら…と同様に。
 今や日本においても、薬屋やラーメン屋に至るまで、フランチャイズが席巻しています。自分の知り合いにも、そういうビジネスの拡大路線を画策する起業家がいますが、総じて何度失敗してもへこたれません。そして、まずはとんでもない大風呂敷を広げた後に、中を埋めていく。“自分と家族の食い扶持だけ稼げればいいや”と思う私のような個人事業主とは思考回路がまったく違いますね。

 ところで、この映画のパンフ、つい手に取りたくなるような優れたデザインです。映画館ではぜひパンフも買っていただきたい。

画像提供元:(C)2016 Speedee Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

■『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』監督/ジョン・リー・ハンコック
出演/マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、ローラ・ダーン、パトリック・ウィルソン、リンダ・カーデリーニ
配給/KADOKAWA

 7月29日(土)、角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿、渋谷シネパレスほかにて全国ロードショー。
 1954年、アメリカ、シェイクミキサーのセールスマンとして中部を回っていたレイ・クロックに、8台もの注文が飛び込む。そのオーダー先はマックとディックのマクドナルド兄弟が経営するバーガーショップ『マクドナルド』だった。合理的な流れ作業のスピード・サービス・システムや、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは、兄弟を説得しフランチャイズ化を展開する。しかし、クロックと兄弟の関係は次第に悪化し、全面対決へと発展してしまう。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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