やくみつるの「シネマ小言主義」 自分のすべてをシェアされる!? 近未来映画 『ザ・サークル』

やくみつるの「シネマ小言主義」 自分のすべてをシェアされる!? 近未来映画 『ザ・サークル』

(提供:週刊実話)

 SNS全盛の今、出るべくして出た、必然性のある近未来映画。未来といっても1〜2年後。もしかしたら数カ月後には現実化しているのでは、と思わせられる話です。

 全世界で30億人のユーザーを持つ超巨大SNS企業に友人の口利きで就職した主人公メイが、ひょんなことから経営者の目に留まり、24時間、観測カメラに自分のすべてをさらけ出すことになってしまうというストーリーで、映画としては面白かったのですが、フェイスブックだのインスタだの、SNSなるものを一切やっていない人間ですので、いちいち違和感を感じまくるというか…。今、すでに楽しくつながりまくっている人はどんな意見を持つのか問うてみたいですね。「その何がいけないの?」みたいなことを言われるかもしれません。

 SNSどころか、生涯ガラケー、アンチPCを標榜する自分ですが、この映画で、ある意味、合点がいきました。自分がITそのものに食いつけない理由、それはIT企業特有の“ノリ”だったのだと。
 この映画では会社自体がサークル活動しているよう。経営者からエンジニアに至るまで、ラフなウエアに身を包み、妙に明るいキャンパスライフ然としているところも、ああ、この“ノリ”がムリだったのだなぁ〜と。

 ところで、生活のすべてを全世界に対して「透明化」するにあたり、誰もが気になるのがトイレの問題。映画の中では「3分だけ」カメラが切れるのですが、自分も含め、3分じゃ厳しい人もいるはずです。
 すべて白日の元にさらせば、悪事や隠し事が忍び込む隙がなく、真に安全安心な社会ができるとプレゼンする経営者と熱狂する人々。それが、どれだけおっかないことなのか気付いていく主人公。続きはぜひ映画で!

 ところで先日、ネットの動画配信会社から連絡をいただきまして。なんでも、ニュースのまとめ動画を配信していて、そのコメンテーターに、という依頼でした。
 自分なんかが一言言おうもんなら、炎上するに決まっているじゃないですか。もちろん、適当な理由をつけてお断りしました。テレビの場合も、おそらくご批判の電話などはあるんでしょうけど、局側で留めておいてくれるので、こっちは知ったこっちゃありません。
 逆に先日、局宛に今まで見たことがないくらい達筆のお手紙が届きました。毛筆ですので、それなりのお年の方でしょう。内容は幸い、どれだけ感銘を受けたかなどのお話が連綿と。100万の「いいね!」より、心を打つのは、やっぱり、そっちじゃないですかね。

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■『ザ・サークル』監督/ジェームズ・ポンソルト
出演/エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、ビル・パクストン
配給/ギャガ

 11月10日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー。
 憧れの、世界一SNS企業『サークル』に勤めることになった新人社員のメイ(エマ・ワトソン)。オープンでシェアし合う社会を理想としていた経営者ベイリー(トム・ハンクス)の目に留まったメイは、新サービス、24時間をネットワークで全世界に公開するモデルケースに選ばれる。小型カメラによって自身の生活を公開するや、たちまち1,000万以上のフォロワーを集め注目されるようになるが…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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