もはやアリ VS アリの世界大戦―海外でもヒアリと戦う在来種達

もはやアリ VS アリの世界大戦―海外でもヒアリと戦う在来種達

テキサス移入ヒアリ研究管理計画のトップページ

危険な外来種「ヒアリ」が世界各地に侵入している。人間や家畜に危害を加えるだけでなく、もともとその土地に住むアリとも死闘を繰り広げる。被害に苦しむ米国南部では、そうした在来種などを味方につけようという研究もある。

ヒアリは毒針を持ち、人間が刺されると非常に激しい痛みを覚え、水疱状に腫れるほか、アレルギー反応を引き起こす場合もあり、北米などで死者を出している。呼吸困難や意識障害などを起こす例もある。体長2〜6mm。胸部を中心に主に赤褐色で、腹部は暗色だが、専門家でないと正確に見分けるのは難しい。

南米原産だったものが北米やアジア、オーストラリアなどに広がって問題になっているが、もとをただせば船荷などにまぎれ拡散した訳で、意図せずとはいえ運び役になった人間が、あとになって怪物や悪者のように扱うのは、考えようによっては勝手な言いぐさかもしれない。

とはいえ攻撃性が強く、繁殖力も高いヒアリが厄介であるのは違いない。大きな影響が広がっている米国南部、テキサス州にある州立Texas A&M University(テキサス農工大)にはヒアリ対策を専門にするTexas Imported Fire Ant Research and Management Project(テキサス移入ヒアリ研究管理計画)が存在する。

そこが興味深い資料を公表している。ヒアリと競合するアリの一覧だ。テキサス州にはヒアリばかりがいると考えがちだが、実際は在来種を含めさまざまなアリが住んでおり、一部はヒアリと争っている。

これらのアリは「侵略的外来種に対する戦争で、人間の助けになるかもしれない」という分析も載っている。

例えば通称Pyramid Ant、 Dorymyrmex sppは体長3mmほどの小さなアリで、体は赤黒または暗褐色、胸にピラミッドを思わせる突起がある。収穫アリと呼ぶ別のアリの巣のそばに巣を作る。ほかの昆虫を餌にし、またアブラムシなどの出す蜜などを好む。

またBigHeaded Ant(BHA)、Pheidole sppは名前の通り大きな頭を持ったアリだ。岩や丸木の下などに巣を作り、死んだ昆虫、種子、アブラムシなどの蜜を食べる。 またヒアリの女王に対する主要な捕食者として知られている。

ほかにもいくつものアリの名前が載っていて、読んでみると面白い。

しかし注意すべきはどのアリも人間の都合で生きているのではない点だ。例えばBHAは世界における有害な侵略的外来種の1種で、地域によってヒアリにとってかわるほど強い勢力を示す場合もあるという。BHAは人や家畜を刺さず、巣に攻撃を受けなければめったにかまず、建物に損害を与えないといった特徴はあるが、しかし本来いない土地に侵入すれば生態系に与える影響は無視できない。

グローバリズムと呼ぶヒトやモノの地球規模での流通が進むにつれ、ヒアリに限らずさまざまなアリが故郷を離れ、新天地で見知らぬアリと出会い、生存を賭け熾烈な闘争を強いられるようになった。まさにアリの世界大戦といった様相だ。

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