【追記】海賊版サイト「Manga Rock」、閉鎖へ 有料配信で批判相次ぎ「漫画家と出版社に心よりお詫び」

海外で人気の海賊版サイト「Manga Rock」が閉鎖へ 「ONE PIECE」「坂本ですが」配信

記事まとめ

  • 海外で人気の海賊版漫画配信サービス「Manga Rock」が配信終了を明かし謝罪した
  • 同サイトは「シティーハンター」や「聖☆おにいさん」等人気作品の英訳を配信していた
  • 違法にもかかわらず有料の定額制サービスとして収益を得ており批判が殺到していた

【追記】海賊版サイト「Manga Rock」、閉鎖へ 有料配信で批判相次ぎ「漫画家と出版社に心よりお詫び」

【追記】海賊版サイト「Manga Rock」、閉鎖へ 有料配信で批判相次ぎ「漫画家と出版社に心よりお詫び」

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海外で人気の海賊版サービス「Manga Rock」の運営会社が2019年9月1日、J-CASTニュースの取材に「漫画業界にご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした」と謝罪し、配信を終了すると明かした。

同サービスをめぐっては、業界関係者の問題提起に端を発し、日本で物議を醸していた。

NYタイムズも紹介

Manga Rockは、2000年代前半に海外向けにリリースされた。ウェブサイトとアプリ(iOS/Android)で日本などの漫画を英訳して配信している。公式ツイッターの配信作品リストには、「シティーハンター」や「聖☆おにいさん」、「坂本ですが」といった人気作品が並ぶ。

Androidアプリは500万以上ダウンロードされ、米新聞大手ニューヨーク・タイムズの14年3月付記事(電子版)では、「5万作品以上を揃える」人気の漫画アプリとして紹介した。

収益源は、ネット広告とサブスクリプション(定額制)サービス。通常は最新の作品が発売してから2週間後に配信され、一部の作品は読めないが、月5ドル払えばそれらの制限がなくなる。

そのほか、ネット環境がなくても読める「オフラインリーディング」や、興味・関心に沿った作品をオススメする「パーソナライズ」機能もある。

類似サイト多いが...Manga Rockは「かなり異例」

Manga Rockをめぐっては、海外向け同人誌出版社「イロ鳥コミックス」の高橋温(おん)社長が8月27日、ツイッターで問題提起すると、日本のネットユーザーに広く知れ渡った。

高橋氏はJ-CASTニュースの取材に、「海外では漫画の違法配信サイトは星の数ほどありますが、Manga Rockはかなり異例です」と指摘する。

高橋氏によれば、日本の漫画が手に入りづらい国では「スキャンレーション」が横行しており、作品をスキャンして英訳化したものを公開するサイトが無数にあるという。

そうしたサイトの多くは有志で運営され、「このデジタルライブラリーがなかったら外国人が漫画を楽しむ方法がないという彼らなりの正義感にもとづく」というが、Manga Rockは広告と定額制の2つの柱で収益を得ている。

さらに、アップルとグーグルのアプリストアに配信されているため、「公式版」だと勘違いしているユーザーも多く、「圧倒的な人気とアクセス数を誇る理由がここです」(高橋氏)

IT大手2社が違法サイトに"お墨付き"を与えている形だが、グーグル日本法人は取材に「個々のアプリについてはコメントしていませんが、著作権侵害を禁止する厳格なポリシーがあります。クリエイターと権利所有者は、権利を侵害していると思われるコンテンツについて通知することができます。各クレームを調査し、ポリシーに違反するコンテンツを見つけた場合、適切な措置を講じます」と答える。アップルからは期日までに回答がなかった。

日本政府、出版社にも原因?

高橋氏は、海賊版サイトが人気を集めることで「出版社が海外出版するときの計算が狂います。海賊版サイトのランキング上位にあって『何百万人の人が読みました』と書いてある作品だったら、これを公式で出してもコスト回収が難しそうだからやめよう、となるでしょう」と懸念を示す。

「『俺たちが好きな作家さんの作品を海外に届けてやる』『もっと多くの人に知ってほしい』と純粋な気持ちでスキャンレーションをするファンが少なくないですが、その善意が作家さんを傷つけ、漫画業界を殺します」(高橋氏)

一方で、責任の一端は日本の出版業界や、政府戦略にもあると高橋氏は見る。

「海外ユーザーの中には違法性を認識している人もいます。ただ、買える環境がないんです。どこの出版社の作品でも読める漫画版のネットフリックス(定額制動画配信サービス)があったら、毎月10ドルでも払う人はたくさんいます」「小学館は『VIZ Media』(同社の子会社)で漫画の翻訳出版をしていますが、欧米のみの展開です」。VIZ Mediaで配信された「ONE PIECE」などが、Manga Rockに転載されている現状があるという。

「また、国もクールジャパン戦略で漫画をPRするだけでなく、権利の保護にも目を向けてほしい」

運営会社「本当に申し訳ございません」

Manga Rockを運営する、IT企業「Noizer Limited」(香港)の子会社「Not A Basement Studio」(ベトナム)は9月1日、取材に対し、サービスを始めた経緯を「もともと『Manga Rock』は学生時代に作ったプロジェクトでした。既に出回っていたスキャンレーションを集めたリーダーアプリの役割でした」と明かす。続けて、漫画業界への悪影響を顧みてサービスを終了する予定だとした。

「当時、我々が漫画業界のことを理解せず、スキャンレーションの由来(公式ライセンスではないことも含めて)を知らず、時が経ってから漫画家や出版社へ被害を与えるものだと分かってきました。しかも、『Manga Rock』の人気が増えれば増えるほど被害も増えてきました。ですからスキャンレーションの人気を加速した我々の役割を深く反省し、被害者である漫画家と出版社に心よりお詫び致します。その結果として、我々のスキャンレーション集サイトとアプリを終了する予定です。それに似たようなスキャンレーション集サイト(たくさん存在しています)も同じく終了されるようにお勧めします。漫画業界にご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした」

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

<2日19時50分追記>
Not A Basement Studioは4日、J-CASTニュースの取材に「Manga Rockの閉鎖作業は現在続けており、グーグルのアプリストアからはすでに消えました」と回答。今後、同様のサービスを展開する予定はないという。