日本ヒューレット・パッカードが描くデータセンター戦略

日本ヒューレット・パッカードが描くデータセンター戦略

画像提供:マイナビニュース

日本ヒューレット・パッカードはこのほど、都内でデータセンター戦略について記者説明会を開催した。説明会では今年の1月に発表したサーバ製品の「HPE Synergy」などのアップデート情報や今後の方針などを説明した。

冒頭、ヒューレット パッカード エンタープライズ カンパニー データセンター・ハイブリッドクラウド CTO アジアパシフィック部門の高野勝氏は「IoTにより、あらゆる場所にテクノロジーが組み込まれ、ARやVR、MRなどであらゆる人とモノがつながり、AIはあらゆることの把握を可能にする。これらの状況でカギとなるのが、データセンターだ。近年、データセンターのテクノロジーはハブになりつつあり、1年半前は50%とパブリッククラウドへの移行率を予測していたが、最近では3割前後になっている」と指摘。

そのような状況を踏まえ、同氏は「データセンターを運用する中で大きなポイントになっていることは運用管理の工数であり、IT機器よりも運用費の方が高いため、どのように削減していくのかということが求められている。そこで、われわれの戦略としては運用コストを低減するためのテクノロジーを持つハードウェアを出すことだ。ソフトウェア定義型などもあるが、パフォーマンスの向上や高速処理、大量のデータ処理などは、どうしてもハードウェアに特化せざるを得ないため、われわれは魅力ある商品を提供する」と胸を張る。

一方で高野氏は「データセンタービジネスは、われわれ単独で取り組める分野もあれば、そうではない分野もあるため、不足している部分は買収で補い、ポートフォリオの中に組み込んでいく戦略を考えている。1月にはハイパーコンバージドインフラ製品を手がけるSimpliVity、3月にはNimble Storageを買収しており、サーバ製品の『HPE Proliant DL380』をベースにした『HPE SimpliVity DL380 with Omnistack』を発表しているほか、Nimble Storageが持つインフラ全体の問題を予測して予防するためのサービス『Info Sight』を活用する」と話した。

○顧客の混在環境を統合する「HPE Synergy」

続けて、日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 サーバー製品本部の尾崎亨氏がサーバ製品を中心に説明を行った。同氏はこれまでのITインフラを振り返り「トラディショナルインフラからコンバージドインフラ、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)、コンポーザブルインフラと進化しており、進化には2つの要素が内在している。1つはソフトウェアの進化であり、x86サーバにおける仮想化のテクノロジーはコンバージドインフラに貢献しているほか、市場を賑わせているHCIについてはSDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)があり、ソフトウェアの機能が貢献している。もう1つはソフトウェアのインフラを、効率的に使うことができるハードウェアを組み合わせることで価値が最大化できるのではないかと考えている」と述べた。

同氏は「HCI以前のトラディショナルインフラ、コンバージドインフラはハードウェアをソフトウェアで補完し、効率化することにフォーカスしていたが、HCIやコンポーザブルインフラはソフトウェアを最大限に活用するためにハードウェアを、どのように選択するのかということを重視している」と、現状を読み解く。

そして、同氏は「近年、HCIが望まれる背景にはクラウド化があり、リソースの持ち方や運用管理に関してクラウド的な思考を採用したいというニーズがある。その中で、われわれがSimpliVityの製品群を取り扱うことができるのは、ポジティブに捉えている。同社の統合はHCIにとどまるものではなく、HCI以外のプラットフォームにも採用していくロードマップを持っており、6月中旬には日本市場での発表を予定している」と示唆した。

現状の企業におけるITインフラを鑑みて「物理や仮想、コンテナ、クラウドもあり、混在している。そこの部分をわれわれとしては、さまざまな製品群を使用して集約を支援することができる。われわれが持つハードウェアを、さまざまなベンダーと積極的に連携し、SDDC(Software Defined Data Center)を構築していく。ハードウェアの観点では大規模な開発プロジェクトである『The Machine』が進化しており、これに近い製品が『HPE Synergy』だ」と同氏は強調した。

尾崎氏は、The MachineとSynergyに関して「クラウドの利用感で瞬時にコンピュートリソースをオンプレミスで提供することができ、すでにSBIリクイディティ・マーケットが導入し、システムの最適化に取り組んでいる。特別なスキルを排除し、誰でも簡単に運用管理を行うことが可能だ。SynergyとThe Machineとの関係性はサーバリソースの共有化を、どのレベルまで進めていくのかということであり、The Machineはハイパーバイザーを使わずに微細化・効率化できることが最終目標となるが、それには技術的なイノベーションが必要不可欠なため、フォトニクスと呼ぶ光配線をノード間だけでなく、サーバ内部の配線も光配線化に取り組む。これを実現することでCPUやメモリを含めたリソースの共有化を可能にしていく」と説く。

また「Synergyのホームファクターは、ブレード型サーバ『c-Class』を採用し、大規模メモリを搭載することができるため、より多くの仮想マシンの収容が可能だ。また、ハードウェアはc-Classから踏襲している電気的なパーツを搭載しないパッシブミッドプレーンを採用し、交換する必要があるセンサ類やアクティブコンポーネントは、ホットスワップが可能なパーツに入れることにより、フレームの全損を防ぐ仕組みとなっている。さらに、将来的にはフォトニクスの搭載も検討しており、最大ネットワーク帯域は現行の240Gbpsから12.8Tbpsまでサポートすることができ、配線を内蔵しているためラックスペースと重量の削減が可能だ」と同氏は話す。

さらに同氏は「1モジュールあたり40本のSSD/HDD、1フレームに最大5モジュールの搭載が可能なほか、VMware vSANをライセンスでOEM提供し、ワンストップサポートする。NutanixをはじめとしたHCIに対抗する戦略としてSimpliVityをポートフォリオに追加して戦うとともに、VMwareと共同でvSAN、Synergyを推進していく。料金は、オンプレミス環境でクラウドの利便性を享受できるフレキシブルキャパシティサービスを適用し、月額従量課金となるほか、従量課金のみではなく、従来どおり販売パートナー経由で提供する」と説明した。

同社では、これらの製品により、あらゆるサービスを統合し、クラウド型の運用をオンプレミス環境で実現することで、運用間・リソース展開を共通化し、シームレスなハイブリッド環境への移行を支援していく方針だ。
(岩井 健太)

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