売上が1兆円超前年比50%増のAWS、日本向け新サービス発表 - AWS Summit Tokyo 2017

売上が1兆円超前年比50%増のAWS、日本向け新サービス発表 - AWS Summit Tokyo 2017

画像提供:マイナビニュース

●2018年に大阪ローカルリージョンの開設へ
アマゾン ウェブ サービス ジャパンの年次イベント「AWS Summit Tokyo 2017」が5月30日から開催された。昨年は3日間だった会期を4日間へ拡張しての開催だ。31日の基調講演では、同社の表取締役社長である長崎忠雄氏が4人のゲストスピーカーを迎えて講演を行った。

「今、日本ではクラウドへのシフトが起こっていると感じる。もはやクラウドは止められない流れ」と、クラウドを活用する企業が急速に増加している現状の言及から講演を開始した長崎氏は、冒頭でAWSの成長や現状について解説した。

サービス開始以来順調に増えてきたユーザー数は近年、特に急速な増加を見せており、ビジネス規模も日本円で約1.46兆円、前年度比約50%成長を遂げている。また、サービスの機能改善も年々増加しており、それでいてサービス開始から合計61回の値下げを行うなどコストメリットも大きいことなど、AWSの特徴が改めて紹介された。

講演では「クラウドで実現する6つの変革 〜ITとビジネスの障壁を取り除くエンタープライズクラウドコンピューティング〜」として「ビジネス基盤の強化」、「持たざる戦略で身軽に戦う」「経営課題とIT課題を同時に解決する」「不測のリスクに備える」「信頼性と安全性を手に入れる」、「HybridなIT組織を作る」という6つの項目に分けて、企業の課題に対応するために同社が提供する機能やサービスの紹介が行われた。

○日本企業向けに用意されたオプションや3つの新サービス

AWSはこれまでも技術的な支援やパートナー選択の支援、豊富な導入事例の公開といった形でユーザーをサポートしてきた。

特に日本ユーザーに向けては、よりクラウド導入における障壁を取り除き、選択肢を増やすための施策として、日本準拠法を選択可能にし、紛争解決にあたって管轄を東京地裁へ変更できるようにもした。また、支払い通貨を12に拡大、さらに日本円での請求書払いにも対応。サービスコンソールも6月中にはすべて日本語化すると発表した。

また、3つの新サービスも発表された。1つ目は、簡易VPSサービス「Amazon Lightsail」の東京リージョンでの提供開始だ。イメージの選択、サイズの選択、名前をつけるという3ステップで月額5ドルから利用を開始できる。ユーザーがリソースの選択で悩む必要はなく、利用料金に転送量なども含まれているため、初心者や専任担当者のいない企業でもAWSが使いやすくなる。

2つ目は、最長12カ月利用できるAWSクラウドの無料利用枠に、仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」が加わったことだ。

そして3つ目は、大阪ローカルリージョンの開設だ。現時点では2018年に、特定ユーザー向けに利用を限定した形で開設されることしかわかっていないが、発表の流れから見ると、災害対策や事業継続のために現状の自動複製などの対応以上を求めるユーザーを対象としているようだ。

●三菱東京UFJ銀行はAWS本格活用から1年半
○ユーザー企業4社が活用事例を披露

講演では、ユーザー企業4社が活用事例を紹介した。最初に登場した三菱東京UFJ銀行 専務取締役の村林聡氏は「レガシー企業でもデジタルトランスフォーメーションとしてAWSを活用している事例として紹介したい」とし、近年の取り組みを解説。「AWSはIT業界のシェアリングエコノミーだと思っている。みんなで使って、AWSとユーザー全員で進化させていきたい」と語った。

2番目に登壇したのは、セイコーエプソン IT推進本部 本部長の熊倉一徳氏だ。2013年からクラウドへの移行を開始したが「クラウドというものを経営スタッフや社内に理解してもらうのは非常に困難だった」と語った熊倉氏は、クラウドは必須であるという信念を持って「Cloud first & fast」に取り組んできたという。

熊倉氏は「これからもAWSにはイノベーターとして発展していってもらいたいし、われわれもそれをしっかり活用してお客さまにより高い価値を提供、より多くの皆さまとのコラボレーションを目指して行きたい」と結んだ。

続いて登壇したのは、レコチョク 執行役員 CTO 稲荷幹夫氏だ。同氏は、自社のビジネスがフィーチャーフォン向けの着うたから、音楽配信に関わる全般へと拡大してきた流れを紹介した上で「スマートフォン環境は、昨年AWSへ移行が完了しており、今年はガラケーのサイトを閉じてデータセンターのクローズドを行い、ほぼ全面的に移行した状態にある」と会員システムや決済システムなど既存システムの移行が完了していることを紹介。

今後はVRに力を入れて行く意向だとして「画質や端末の熱暴走など課題があり、ハードウェア待ちの状態ではあるが、配信環境はReadyにしておく必要がある」と語った。

最後に登場したのはSansan Co-founder Eight事業部 事業部長の塩見賢治氏だ。個人向けの名刺管理サービスとして展開する「Eight」はサービス開始当初からAWSを採用している。

「開発時は別のクラウドを利用していたが、リリース直前に東京リージョンが登場して切り替えた。移行、AWSの新機能に支えられて成長してきた」と、塩見氏は語った。法人向けサービスのSansanでもAWSを一部利用しており、今後グローバル展開を目指す中でさらにAWSを活用して行きたいとした。

○今までできなかったことがクラウドで可能になる

講演の最後に、長崎氏は「われわれはさまざまなお客さまと世界中でビジネスをしている。もし、クラウドにもう一歩踏み込むために支援が必要な時、われわれあるいはパートナーに声をかけてほしい」と語りかけた。

また「クラウドによって今までできなかったことができるようになる。イノベーションのスピードは目まぐるしい。クラウドというのは一つの潮流となっている。デジタルトランスフォーメーション、ITのトランスフォーメーションを加速するお手伝いができると考えている」と、このクラウド活用を促すコメントで講演を締めくくった。
(エースラッシュ)