三菱東京UFJ銀行はいかにしてセグメントベースからOne to Oneマーケティングに進化を遂げたのか?

三菱東京UFJ銀行はいかにしてセグメントベースからOne to Oneマーケティングに進化を遂げたのか?

画像提供:マイナビニュース

SAS Institute Japanは5月23日にアナリティクス専門カンファレンス「SAS FORUM JAPAN 2017」を開催、SAS製品を活用した導入事例が紹介された。本稿では、セグメントベースのマーケティングから、イベント・ベースド・マーケティング、One to Oneマーケティングへの進化を実現した三菱東京UFJ銀行の取り組みを紹介する。

講演は、三菱東京UFJ銀行 システム開発運用部 戦略情報グループ 次長の大村博昭氏が行った。同氏は、同行のマーケティングシステムの変遷のポイントとして、「セグメントベースのマーケティングの導入」「イベント・ベースド・マーケティングの導入」「One to Oneマーケティングの導入」を挙げた。

セグメントベースのマーケティングを手掛ける前に、同行は旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行の統合を経て、両行の取引を取り入れた形でマーケティングの活動を開始したということで、非常に苦労したそうだ。

○セグメントベース・マーケティングの導入

セグメントベース・マーケティングを導入するにあたっては、顧客分析を行うためのシステム構築を目的としており、「顧客属性を用いた分析の開始」「本部による施策登録、全店舗へリスト還元」「配信チャネルに対するダイレクトメールの郵送」を開始したという。

セグメントベース・マーケティングを支えるシステムとして、もともと使っていたテラデータのDWH「Teradata Database」に加え、テラデータの検索用BIツール「Access Navigator」が導入された。

営業店とコールセンターにおいてワンストップでデータを閲覧できるよう、セールスサポートシステムを構築。今では、同システムに対し、1日300万のトランザクションのリクエストがあるそうだ。「セールスサポートシステムでは、瞬時にデータを処理できるよう、パフォーマンスを重視した」と大村氏。

○イベント・ベースド・マーケティングの導入

セグメントベースのアプローチに限界が来たことから、イベント・ベースド・マーケティングが導入されることになった。金融商品へのニーズはライフステージの変化やライフイベントの発生によって変化することから、セグメントベースのアプローチでは、今、対象の商品を必要としていない顧客にとって迷惑なアプローチとなりかねないという。

加えて、営業店でのセールスやコールセンターからのアウトバウンドセールス以外にも、スマートフォンアプリやインターネットバンキングといった非接触チャネルへの連携を開始、低コストかつアプローチ頻度の高い配信先チャネルを拡充した。

そこで、イベントの設定・検知から複数チャネルへの配信までのプロセスを自動的に運用するツールが必要となり、「SAS Marketing Automation」が導入されることになった。大村氏によると、Teradataの製品とSASの製品は相性がよいという。

大村氏は、SAS Marketing Automationのメリットについて「1人のお客さまが複数のキャンペーンにヒットする場合、プライオリティを付けることができるほか、お客さまに対する投稿やメールの頻度を管理することができる。また、ユーザーがキャンペーンを設定できる点も便利」と説明した。

○One to Oneマーケティングの導入

そして、イベント・ベースド・マーケティングを行う上での課題を解決するため、One to Oneマーケティングが検討されることになった。その課題とは、「商品起点による訴求では顧客のニーズに応えきれない」「チャネル間の連携が不十分」「顧客の反応が十分に反映されていない」の3点だ。

これら3つの課題を解決するための施策が、「ビッグデータを活用した顧客の行動の把握」「チャネル横断的な最適化」「顧客の反応に応じたイベントの設定」「一人別ニーズの推計」となる。

ビッグデータを解析可能な基盤を整備して、より詳細な顧客高度を把握するため、Hadoopが導入された。というのも、成約モデルの高度化を図り、推定した注目行動に至るパターンを分析するにあたり、SQLデータベースでは対処できないため、並列分散処理が可能なHadoopが必要となったからだ。

また、商品と顧客により最適解を探索し、さらにチャネル横断的なアプローチを最適化するために、「SAS Marketing Optimization」が導入された。同製品により、近似値解析の実験をしたところ、最初はデータが偏っていたことから精度が70%以下だったが、本番データを用いたところ95%の精度に上がったという。

大村氏は今後の展望として、Amazon Web Servicesの活用の推進を挙げ、TeradataやSAS製品をAWSで利用することに力を入れていくという。あわせて、ユーザーのリクエストに応えるため、AIの活用にも注力していくとした。
(今林敏子)