IIJなど、ICTによる水田水管理システムの実証 - コンソーシアム設立

IIJなど、ICTによる水田水管理システムの実証 - コンソーシアム設立

画像提供:マイナビニュース

インターネットイニシアティブ(IIJ)、静岡県交通基盤部農地局、笑農和(えのわ)、トゥモローズ、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は6月19日、共同研究グループとして「水田水管理ICT活用コンソーシアム」を設立し、農林水産省の公募事業である平成28年度「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」において、「低コストで省力的な水管理を可能とする水田センサー等の開発」の研究課題に応募し、採択されたことを発表した。

同コンソーシアムでは、IoTやLPWA(Low Power, Wide Area:IoT/M2Mに適した低消費電力かつ長距離通信を特徴とする無線通信技術)などICT技術の活用で、水田の水管理コストを50%削減することを目指す。すでに取り組みを開始しており、期間は2020年3月31日までの3年間。

近年、大規模経営体では水管理作業の労働負荷が課題となっているが、ICTを活用して水の管理を効率化するには機器や通信費用などのコストが高く、導入の障壁になっているという。今回の研究では、機器や運用コストを抑えることで経営体が容易に導入できるICTシステムを開発し、従来の水管理コストを50%削減することを目指すとともに、実証実験後にサービス化を実現するための研究開発を行う。

具体的には、IoTで水田の水位および水温を監視し、自動給水弁により水位を遠隔で管理できる「ICT水管理システム」を開発し、静岡県の経営体での実証実験で水管理にかかるコスト効果を測定。

なお、同研究ではオープンイノベーションの考えに基づき、オープンなシステム仕様と標準化を積極的に推進するもので、日本農業情報システム協会(JAISA)を通じて全国の地域事業者の協力を得ながら、経営体や土地改良区、自治体などさまざまなユースケースに応用可能なデータ連携基盤の実現を目指す。

ICT水管理システムは、水田センサ、自動給水弁、ネットワーク・通信基地局、水田状況確認・管理用アプリで構成。水田センサは、水位・水温を測定する電池駆動の水田センサを、日本ラッドの協力の下に開発。水田に設置し、ネットワーク経由で水位・水温情報を収集し、量産時の販売価格は1万円以下を予定している。

自動給水弁については、重力式の低圧パイプラインが整備された水田において、遠隔からネットワーク経由で給水弁の開閉を制御できる電池駆動の自動給水弁を開発する。水田に行かなくてもPCやスマートデバイスから遠隔操作で水位を調整することを可能とし、量産時の販売価格は4万円以下を予定。

ネットワーク・通信基地局は、水田センサ、自動給水弁と通信するためLPWAの1つで、低消費電力ながら長距離通信をカバーするLoRaを採用し、低コストでの運用ができるという。水田センサからのデータ収集、自動給水弁の制御には、IIJの「IIJ IoTサービス」と、通信機器や基地局を遠隔から集中管理を行うIIJのマネージメントサービス「SACM」を利用する。

水田状況確認・管理用アプリに関しては、水位、水温などの情報を可視化し、給水制御ができるアプリケーションを開発。開発には、笑農和が提供する開水路向け水位調整サービス「paditch」のプラットフォームを応用し、地図情報と連動したモニタリングや複数水田における給水の一括処理など、経営体が導入しやすい直感的な操作性を実現するという。

実証は、静岡県磐田市・袋井市の経営体において行い、水管理に関するニーズやコストの事前調査を実施するとともに、ICT水管理システムを設置し、導入前後の効果を測定。経営体が現実的に必要とする技術開発、センサや基地局の最適な配置場所の検証、流量測定装置による節水効果を含めた水管理コスト削減効果の検証を推進していく。
(岩井 健太)

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