乳牛の歩行映像から人工知能が重大疾病の予兆を発見する手法を開発

乳牛の歩行映像から人工知能が重大疾病の予兆を発見する手法を開発

画像提供:マイナビニュース

大阪大学産業科学研究所は、人物歩行映像解析技術を乳牛に応用し、乳牛の歩行を撮影した映像から、乳牛の重要な疾病のひとつである蹄病を、軽症のうちに99%以上の高精度で発見する手法を開発したと発表した。

同研究は、大阪大学産業科学研究所の八木康史教授らと、酪農学園大学の中田健教授らの研究グループによるもので、同研究成果は、3月10〜11日に行われた情報処理学会CVIM研究会で発表された。

乳牛において、蹄の怪我や病気は蹄病と呼ばれ、生産物の質・量の低下につながるのみならず、放置すると乳牛の命に関わる、早期発見が重要な疾病となっている。蹄病の兆候は、乳牛の背中の曲がり具合や歩き方に現れることが知られており、これまでは、乳牛の背中の曲がり方を画像から検出して蹄病を検出する手法が研究されていた。しかし、予防・早期発見が重要であるとされている蹄病において、この手法で検出対象となるのは中程度〜重度の蹄病のみであった。

そこで、八木教授らの研究グループは、人物歩行映像解析技術を乳牛に応用し、乳牛の歩行映像から蹄病を軽度のうちに99%以上の精度で発見する手法を開発した。具体的には、物体までの距離を計測可能なカメラである距離画像センサ(Microsoft Kinect)に防水・防塵加工を施し、研究協力機関である酪農学園大学の牛舎に設置した。撮影された大量の乳牛の歩行映像をもとに歩行の様子を特徴化し、機械学習により蹄病個体を検出する。蹄病の有無は、跛行スコアとよばれる5段階(1:正常、5:重度)のスコアで管理されるが、同手法では、スコア1(正常)とスコア2(軽度の蹄病)以上の乳牛を分けることができるという。

同研究成果は、人工知能による映像解析を応用した乳牛のモニタリング技術のさきがけとなる。将来的には、一部の酪農家への導入が始まっている自動搾乳機や給餌ロボット、現在も研究が進む乳牛取り付け型のウェアラブルセンサや人工知能技術などを活用し、乳牛の健康状態を酪農家の代わりに、人の目よりも高頻度・高精度にモニタリングする「スマート牛舎」の実現に大きく寄与することになるという。牛の様々な健康状態を自動解析し、搾乳量や給餌量をきめ細かく調整するとともに、酪農家に牛の状態を「見える化」することで、酪農家が真に牛の健康や生産物の高品質化に専念できる、新時代の酪農業を実現することが期待されるということだ。
(シマダマヨ)

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