熊本大学、胎児期腎臓における細胞内骨格の関与を明らかに

熊本大学、胎児期腎臓における細胞内骨格の関与を明らかに

画像提供:マイナビニュース

熊本大学発生医学研究所は6月27日、腎臓発生分野の西中村隆一教授、医学教育部HIGOプログラム大学院生のFahim Haqueらが、胎児期腎臓における新たな細胞内骨格の関与を明らかにしたことを発表した。

胎児期腎臓において、腎管およびそこから派生する尿管芽は尿の排出路を形成する。これらの発生に、間葉から分泌されるGdnfの受容体で、ERKを活性化するRetが重要であることは知られているが、この経路以外の関与については不明であった。

非筋肉型ミオシンIIをコードする遺伝子Myh9とMyh10の両方を腎管・尿管芽の系譜でノックアウトしたマウスを作製・観察したところ、A図のように尿管と膀胱(図b)の接続が障害され、腎臓と尿管の顕著な拡張が起こった。これは、B図に見られるように胎生中期に尿管芽が基底側から異所性に発芽するためと考えられた。

一方同時期、C図に見られるように腎管・尿管芽の上皮は管腔側に向かっても飛び出し、細胞死を起こしていた。ミオシンはE-カドヘリンによる細胞間接着に重要なため、ミオシンIIの欠失によりその接着が低下し、上皮の本来の形態を維持できなくなることが原因と考えられた。

またこれまで、過剰なRetシグナルを介した細胞内シグナルERKの異常な活性化により、尿管芽が異所的に形成されることが知られていたが、今回、ノックアウトマウスの異常上皮では、Retシグナルとは別の機構でERKの活性化が引き起こされていた。

これらのことから、ミオシンIIは腎臓細胞を一層の上皮内に留めて維持するのに必須であることがわかった。特に細胞が管腔側に飛び出すという症状は稀であり、主に培養細胞で研究されてきたミオシンIIの生体内での役割を明確に示したこととなる。

本研究は、Developmental Biology 誌427巻1号に掲載された。
(田中省伍)

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