成長の可能性が見えてきた次世代不揮発性半導体メモリ市場 - Yole

成長の可能性が見えてきた次世代不揮発性半導体メモリ市場 - Yole

画像提供:マイナビニュース

市場調査企業の仏Yole Developpementは2017年6月、「Emerging Non-Volatile Memory(次世代不揮発性メモリ)」に関する調査レポート(2017年版)を発行した。

同レポートでYoleは「次世代の不揮発性メモリ(NVM)を適用する市場環境が整いつつあり、今後5年間はNANDよりも高速でDRAMよりもビット単価が安いストレージ専用メモリ『SCM(Storage Class Memory)』とMCUへの組み込み用途がこれら次世代NVM市場をけん引するだろう」との見解を公開し、中でも組み込み用途としてはPCM(Phase-Change Memory:相変化メモリ)とRRAM(Resistive Random Access memory:抵抗変化型ランダムアクセスメモリ)が、スタンドアロンNVM市場はMRAM(Magnetro-resistive Random Access Memory:磁気抵抗変化型ランダムアクセスメモリ)とRRAMがけん引するだろうとの見解を開示した。

PCM、MRAM、RRAMなどの主要な次世代NVM技術は、長い時間をかけて開発されてきた経緯があるが、現在でも実用化されているのは、ニッチ市場に限られている。特に普及の壁となっているのは、量産品の記憶密度が低く、大容量品の投入が遅れている点であろう。これは、新しい材料と新たなプロセスステップを導入する必要などといった製造上の課題があるためで、その一方で、DRAMやNANDなどの既存メモリの技術は、密度とコストの点で次々と微細化を中心とした進化が続けられていることから、次世代NVMが、DRAMおよびNANDと同じ土俵に立って戦うことが難しいことを意味している。

しかし、次世代NVMが急成長の軌道に乗る可能性が最近の市場の動きから見えてきたとYole Developpementのシニアテクノロジー&マーケットアナリストであるSantosh Kumar氏は述べており、中でも大企業によるSCM製品の導入、新たなSCMアプリケーションの登場、ロジックファウンドリのトップ5すべてがSCMの受託生産に参入する意向を示していることなどを具体例として挙げている。

もう少し詳しく見てみると、新しいSCM事業セグメントとして、システムアーキテクチャにおけるワーキングメモリとデータ記憶装置との中間に追加されるメモリ階層が取り上げられるようになってきていることが1つ。この目的は、システムのスピードを上げてレイテンシを削減することにあり、DRAMならびにNANDとは互いにサポートをしつつ共存する形となる。具体的な動きとしても、Intelが、PCMベースの3D XPointメモリを市場に投入したことが挙げられる。IntelのパートナーであるMicron Technologyも、2017年末までに3D XPointメモリの製品を導入する予定だという。

また、TSMC、GLOBALFOUNDRIES(GF)、UMC、SMIC、Samsung Electronicsといった大手ファウンドリが次世代NVMをビジネス化することについて、Santosh Kumar氏は、「2018〜2019年の間に、MCU向けに組み込みMRAMならびに組み込みRRAMが導入される見通しとなっている。こうした次世代NVMは、CMOS互換プロセスを用いているため、ファウンドリとしても組み込みメモリ関連のビジネスを拡大するのに役立つことになるだろう」と述べている。

さらに、YoleのTechnology&Market AnalystであるYann de Charentenay氏は、「新しいメモリカテゴリが創造されることは、すべてのメモリエコシステムプレイヤーが多数のハードウェアおよびソフトウェアの開発を必要とするきわめて大きな変化である」とし、「SCMは、エンタープライズ・ストレージおよびクライアント・アプリケーションに採用された後、モバイルに採用される見込みである。2017年初頭にIntelがSCMアプリケーションをターゲットに3D XPointメモリ製品を導入したことは、メモリ業界にとってゲームチェンジャーだ」とIntelの動きが呼び水となり、業界に大きな波が訪れるとしている。

なお、Yoleでは、次世代NVMの市場について、2016年から2022年の年平均成長率を106%と見ており、2022年には約39億ドルに達する見込みとしている。
(服部毅)

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