ロート製薬、タウリンとビタミンAが角膜上皮幹細胞を保護する仕組みを解明

ロート製薬、タウリンとビタミンAが角膜上皮幹細胞を保護する仕組みを解明

画像提供:マイナビニュース

ロート製薬は、一般用点眼薬の有効成分として使われている「アミノ エチルスルホン酸(以下、タウリン)」、「レチノールパルミチン酸エステル(以下、ビタミンA、VA)」が角膜上皮幹細胞(以下、角膜幹細胞)に与える影響について研究を行った結果、タウリンとビタミンAが角膜幹細胞において、酸化ストレスから角膜幹細胞を保護し、そのメカニズムとしてアポトーシス(細胞死)を抑制するメカニズムを解明したことを発表した。この成果は6月28日〜29日に茨城県にて開催された「第70回日本酸化ストレス学会学術集会」で発表された。

一般用点眼薬の有効成分であるタウリンは代謝促進、ビタミンAは「角膜上皮細胞」の分化・増殖を促進させることが知られているが、どちらの成分も「角膜幹細胞」における作用については、これまで十分に研究されていなかった。

角膜幹細胞は角膜と結膜の境界部に存在し、日々新しい角膜上皮細胞を生み出し、角膜上皮層の正常なターンオーバーや恒常性維持に重要な役割を果たしている。角膜幹細胞がダメージを受ける主な原因は外傷によるものだが、加齢とともに増える体内の酸化ストレスや抗酸化力の低下も原因のひとつと考えられている。

そこで同社は、加齢に伴う角膜幹細胞へのダメージに効果的な点眼薬の開発を目指し、角膜幹細胞に酸化ストレスを与えることで細胞死を起こす加齢を想定したモデルで、タウリンとビタミンAの作用について検討を行った。

マウス角膜上皮前駆細胞に酸化ストレスを与えると、角膜幹細胞はアポトーシス(細胞死)を起こす。一般用点眼薬において基準内最大量となるタウリン1%とビタミンA 5万単位/100mLの組み合わせにおいては、酸化ストレスが原因となる角膜幹細胞の細胞死を有意に抑制し、細胞保護効果を示した。

また、タウリン、ビタミンAの活性酸素消去効果について確認した結果、いずれの成分も濃度依存的に活性酸素消去作用を示し、ビタミンAはタウリンよりも強い活性酸素消去作用を示した。

さらに、酸化ストレスを与えた角膜幹細胞においても「活性化Akt」の量が低下することが確認された。そこで、タウリンを添加した上で酸化ストレスを与えたところ、酸化ストレスのみと比べて「活性化Akt」の発現が多いことがわかった。

上記のとおり、タウリンとビタミンAの組み合わせは、酸化ストレスから角膜幹細胞を保護する効果を示すことが明らかとなった。角膜幹細胞を保護する主なメカニズムとしては、ビタミンAは活性酸素と直接作用することで消去する作用、タウリンはアポトーシス抑制因子の「活性化Akt」を増加させることが関係していると考えられる。これらの結果から、加齢によって抗酸化力が低下している場合において、タウリンとビタミンAは角膜幹細胞の機能低下を抑えることが期待できるとしている。

なお、角膜はUVをはじめとしさまざまな酸化ストレスに日常的にさらされている。同社は今回の研究から、タウリンとビタミンAが角膜上皮細胞の元となる角膜幹細胞の酸化ストレスから保護する作用を発見できたことは、将来的に角膜上皮再生の基盤となる技術になると考えていると説明している。
(早川厚志)

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