大阪市大×メナード化粧品、本物の真皮に近い「培養真皮」を開発

大阪市大×メナード化粧品、本物の真皮に近い「培養真皮」を開発

画像提供:マイナビニュース

大阪市立大学は、同大学大学院医学研究科 合成生物学講座の吉里勝利特任教授らの研究グループが、日本メナード化粧品との共同研究において、新しい概念に基づいて新規性の高い「培養真皮」を開発したことを発表した。この成果は6月28日、国際学術誌「Biochimica et Biophysica Acta(BBA) - General Subjects」にオンライン掲載された。

同研究は、真皮の主要細胞である線維芽細胞を、その生体内環境により近い環境で培養する方法を開発することを目指したもの。

研究グループは最初に、真皮の主要な基質であるコラーゲン線維に生体を模してテンションをかけ、その3次元格子の中に、真皮の主要細胞である線維芽細胞を閉じ込め培養する方法を開発し、次にこの培養体(培養真皮)に生体組織液と同じ速度で流れる培養液を還流させ、培養体をより一層生体環境に近づけた。その結果、生理的な流れ速度が線維芽細胞の増殖能を速度依存的に高めることが明らかになった。

また、"流れ刺激"は、線維芽細胞のヒアルロン酸合成を顕著に高めることも明らかになった。流れ刺激は、ヒアルロン酸の量を調節することによって、細胞周辺の微視的環境を調節し線維芽細胞の増殖や機能を調節しているものと考えられる。

この研究により、生体真皮により近い性質を持った人工真皮を作成することに成功した。今後は、この培養人工皮膚をさまざまな生命科学分野に利用されることが期待される。例えば、ヨーロッパでは動物実験による化粧品開発が禁止されているが、培養真皮や培養皮膚は、動物実験に変わる化粧品開発の新しい道具となる可能性が高い。

さらにこの手法は、真皮や皮膚にとどまらす、肝臓などの他の器官に応用可能だと考えられる。将来的には、培養皿の中に"生きたヒトの肝臓(培養人工肝臓)"を作ることができる可能性もあり、こうした肝臓は医薬品開発のツールとして、また障害肝臓の治療ツールとして大きな貢献ができると期待されるという。
(早川厚志)

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