マイクロLEDディスプレイの初期製品は2018年に商品化か? - LEDinside予測

マイクロLEDディスプレイの初期製品は2018年に商品化か? - LEDinside予測

画像提供:マイナビニュース

ディスプレイ業界もスマートフォン業界も大型テレビ業界も有機ELディスプレイに注目が集まっている一方で、ポスト有機ELを狙って、究極のディスプレイと目されるマイクロLEDディスプレイの商品化を目指した開発が各所にて進められている。

TrendForceのLED市場調査部門であるLEDinsideは7月20日、会員向けレポート「マイクロLED次世代ディスプレイ - マイクロLEDディスプレイ産業レポート(2017年第四半期版)」を発行し、その中において、「マイクロLEDの実用化における大きなボトルネックは、ミクロンサイズの大量のLED素子のディスプレイバックプレーンへの実装(正式な言い方はマストランスファ=物質移動)である」と指摘。世界中の多くの企業がマイクロLED市場に参入し、物質移動プロセスの手法を開発しようとしているが、生産量(単位時間当たりの製造可能な台数:unit per hour、UPH)、物質移動歩留まり、およびLEDチップのサイズという点において商品化の基準にはまだ合致していないとの見通しを示した。

○150μmのマイクロLEDディスプレイは2018年に発売か?

同レポートでは、商品化のめどについて「マイクロLEDは技術的には100μm未満のLEDとして定義されるが、現在、マイクロLED市場の参入企業は、約150μmのLEDの物質移動に取り組んでいる」との市場の動きから、150μmのLEDを搭載したディスプレイおよびプロジェクションモジュールが、2018年に市場に投入される可能性があるとの予想を示している。

また、同サイズのLEDの物質移動が成熟するにつれ、市場参入者は100μm未満のより小さなサイズのマイクロLED製品を製造するプロセスに投資するようになるであろうとも述べており、商品化が技術開発の加速につながるとの期待を示す。

ただし、物質移動プロセスは、マイクロLEDディスプレイの製造における4つの主要プロセスの1つであり、多くの困難な技術課題が残されていると、LEDinsideのアシスタント調査マネージャーであるサイモン・ヤン(Simion Yang)氏は述べている。同氏は、費用対効果の高い物質移動手法の開発は、(1)装置の精度、(2)移動歩留まり、(3)製造時間、(4)製造技術、(5)検査方法、(6)不良品の再生加工、および(7)プロセスコストの7つの主要分野の進歩に依存すると指摘している。

また、LEDサプライヤ、半導体メーカー、およびデイスプレイサプライチェーンに含まれるすべての企業は、本格的な商用化に向けてはマイクロLED製造に使用される材料、チップ、および製造装置の仕様基準を開発するために協力しなければならないが、各業界ごとに独自の仕様基準があるため、その垣根を越えた連携が必要となるほか、技術的ハードルを克服し、さまざまな製造分野を統合するためには、長期にわたる研究開発が必要であるともしている。

さらに、マイクロLEDディスプレイの大量生産の実現可能性を決定するモデルとしてシックスシグマ(6σ)を使用すると、物質移動プロセスの歩留まりは商業化を踏まえると4σレベルに達する必要があるとLEDinsideでは分析している。しかし、4σレベルであっても、検査コストや欠陥修復にかかるコストは依然として高く、競争可能なプロセスコストで商業的に成熟した製品を造るには、物質移動プロセスが5σレベル以上の移動収率に達する必要があるとする。

○物質移動手法の開発が商用化のカギに

世界中の多くの企業や研究機関が物質移動プロセスの研究開発に投資をしているが、未だ決定的なブレークスルーは発表されていない。同プロセスの研究開発には、米LuxVue(Appleが買収)、米eLux(シャープが出資)、カナダVueReal、アイルランドX-Celeprint、仏CEA-Leti、ソニー、OKI、台湾のPlayNitride、ITRI(産業技術研究所)、Mikro Mesa、TSMCなども参入している。

開発中の物質移動ソリューションにはいくつかのタイプがあるが、アプリケーション市場、設備資本、UPH、および処理コストなどのさまざまな要因により、そのうちの1つが最終的に選ばれることとなり、そこに、実際の製品開発における生産能力の拡大のしやすさや歩留まりの高さといった要素も加わってくる。

なお、LEDinsideは、最初に本格的なマイクロLED製品(100μm以下のLEDサイズ)を採用するのは、ウェアラブル(スマートウォッチやスマートブレスレットなど)と大型屋内ディスプレイであろうと予測している。

また、大量な物質移動は技術的に困難なため、市場参入者はまず既存のウェハボンディング装置を使用してソリューションを構築するほか、それぞれのディスプレイが採用されるアプリケーションごとに独自のピクセル(画素)ボリュームの仕様が存在するため、市場参入者は、製品開発サイクル短縮に向け、ピクセル数が少な目の製品に焦点を当てて商用化を進める可能性が高いとしている。
(服部毅)

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