反射防止膜を用いない結晶Si太陽電池で変換効率20%を達成 - 阪大

反射防止膜を用いない結晶Si太陽電池で変換効率20%を達成 - 阪大

画像提供:マイナビニュース

大阪大学(阪大)は、10秒〜30秒の溶液処理を施すことで、反射率3%以下を実現したシリコンウェハを形成する手法を開発したこと、ならびに実際に結晶Si太陽電池に適用した場合、反射防止膜を形成しない単純な構造であっても変換効率20%を達成できることを確認したと発表した。

同成果は、同大産業科学研究所の小林光教授と今村健太郎助教らの研究グループによるもの。研究成果の一部については、学術誌「Solar RRL」(2017年7月号)に掲載された。

一般的にSiの反射率は、平坦面では30〜55%と高いため、反射防止が太陽電池の高効率化に重要な意味を持つ。通常、単結晶SiではKOHやNaOHなどの強アルカリ性水溶液で20分程度のエッチングを施すことで反射率を低減させているが、それでも反射率は10%以上と高く、反射防止膜を形成する必要があったが、プラズマCVDなどの高価かつ低スループットの装置が用いられており、それがコスト低減の妨げになっていたという。また多結晶Siの場合、反射防止膜を形成しても反射率は20%以上と高く、低反射率を実現する手法の確立が求められていた。

今回、研究グループでは、Siウェハを過酸化水素水(H2O2)とフッ化水素酸水溶液(HF)の混合溶液に浸し、白金触媒体に10〜30秒接触させるだけで、ウェハ表面にシリコンナノクリスタル層を形成する手法を開発。反射率は3%以下と、どの方向から入射する光に対しても反射がほとんど起きなくなるため、反射防止膜形成処理の省略が可能となったとする。

また、形成されたシリコンナノクリスタル層は、光生成した電子とホールが表面で再結合して消滅し、変換効率が低下するという課題があったことから、さらに新たな再結合防止技術「リン珪酸ガラス法(PSG法)」を開発。これにより、PSG法を用いない場合の太陽電池の変換効率が約15%であったところを、20%にまで向上することに成功したとする。

なお、研究グループでは、今回の技術を活用することで太陽電池の製造コストを約2割低減できると期待されるとコメントしている。
(小林行雄)

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