JAMSTEC、地下深部の超極限的な環境で「極めて特異な微生物群」を発見

JAMSTEC、地下深部の超極限的な環境で「極めて特異な微生物群」を発見

画像提供:マイナビニュース

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、同機構高知コア研究所地球深部生命研究グループの鈴木志野特任主任研究員らが、J・クレイグベンター研究所、南カリフォルニア大学、ニューファンドランド・メモリアル大学、デルフト工科大学と共同で、マントル由来の岩石域から湧き出る強アルカリ性の水環境に、極めて特異なゲノム構造を持つ常識外れな微生物が生息していることを発見したことを発表した。この成果は、英科学誌「ISME Journal」に7月21日付で掲載された。

地球の上部マントルを構成する主要な鉱物であるカンラン岩と水が反応すると、カンラン岩が蛇紋岩と呼ばれる鉱物に変質するとともに、水素を多く含む強アルカリ性の極めて還元的な流体が生成される。この一連の反応は「蛇紋岩化反応」と呼ばれ、約40億年前の地球初期の環境と類似すると考えられている。

同反応により生成される湧水(蛇紋岩体湧水)は、pH11を超える強アルカリ性で、生命活動にとって非常に過酷な自然環境であると考えられる。この湧水は、呼吸によりエネルギー物質を作り出すために必要となる酸化的な物質がほとんど含まれない、超還元的な環境であるため、還元的な物質から効率的にエネルギーを得ることが難しく、生命活動を維持・存続のために必要となるエネルギーの獲得や、細胞を構成する物質を作り出す点において、地球上で最も過酷な自然環境のひとつであると考えられる。この初期地球環境にも類似した地下環境に、どのような微生物が存在し、どのように生命活動を維持しているのかは解明されていなかった。

この研究では、米国・カリフォルニア州ソノマ郡にある「ザ・シダーズ (The Cedars)」と呼ばれる場所を調査し、地下の蛇紋岩化反応を介して湧き出る強アルカリ性の水に存在する微量の微生物細胞を採取し、それらに含まれるゲノムの網羅的な遺伝子解読(メタゲノム解析)を行った。

その結果、蛇紋岩化反応が起きている地下深部に由来する超好アルカリ性微生物の多くは、一細胞あたりのゲノムサイズが非常に小さく、生命機能の維持・存続に必須の遺伝子群が欠落しているなど、既知の微生物のゲノム構造とは大きく異なる、極めて特異なゲノムを有する生命体が多く存在することが判明した。

これらの微生物は、湧水中に含まれるカンラン岩の隙間や表面に密集している様子が観察されたことから、その生命活動を蛇紋岩化反応に依存して生きる生命である可能性が示された。

蛇紋岩環境は、陸域・海底下の地質環境における鉱物と水と生命の相互作用や、地球の初期環境における生命の起源や進化を紐解く上で、重要な場所と考えられている。研究グループはこの成果について、現地球における上部マントルと生命圏との関わりや、地球の初期環境における生命進化の謎を解き明かす上で、非常に重要な発見になると説明している。
(早川厚志)

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