東工大など、真菌(カビ)によって肝障害が悪化するメカニズムを解明

東工大など、真菌(カビ)によって肝障害が悪化するメカニズムを解明

画像提供:マイナビニュース

東京工業大学は、同大学生命理工学院の梶原将教授、理化学研究所(理研)ライフサイエンス技術基盤研究センター微量シグナル制御技術開発特別ユニットの小嶋聡一特別ユニットリーダー、加藤分子物性研究室の大島勇吾専任研究員、ロナク・シュレスタ国際プログラム・アソシエイト(研究当時)らの研究グループが、肝臓に侵入した真菌(カビ)が活性酸素、特にヒドロキシルラジカルを作り、その酸化ストレスを介して肝細胞死を引き起こす分子メカニズムを明らかにしたことを発表した。この研究成果は、英国の科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版(7月6日付け、日本時間7月7日)に掲載された。

現在、日本における肝がん(肝臓がん)の主な原因は、肝炎ウイルスの感染だが、欧米ではアルコールの過剰摂取によるアルコール性脂肪性肝炎(ASH)が大きなウエイトを占めている。さらに近い将来、世界的にメタボリックシンドロームの肝臓での表現型である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が主な原因になるといわれている。

ASH/NASH患者は、腸内に生息する病原性真菌の一種カンジダ菌が肝臓に到達することが報告されており、ASH/NASH患者の肝細胞は、通常は細胞質に存在するタンパク質架橋酵素「トランスグルタミナーゼ(TG2)」が細胞核に局在することで肝細胞死を引き起こして肝障害を悪化させることが、先行研究から判明している。しかし、肝臓に到達したカンジダ菌がこの病態形成機構におよぼす影響はわかっていなかった。

今回、研究グループは、肝臓への真菌感染のモデルとして、病原性カンジダ菌と非病原性の酵母菌を、肝細胞と共培養し経過を観察した。その結果、カンジダ菌は活性酸素、特にヒドロキシルラジカルを産生し、これを介して肝細胞におけるTG2の核局在と活性促進を招き、肝細胞死を引き起こすことがわかった。同様の結果は、カンジダ菌を感染させたマウスの肝細胞においても観察された。

今回の発見により、ASH/NASHの患者における肝障害が、病原性真菌の産生する活性酸素を介して増悪する新たな発症機構の存在が浮かび上がった。活性酸素を抑制する薬剤の投与により肝細胞でのTG2の核移行を阻害するなど、TG2の核局在を標的とした肝障害を抑える新たな治療法の開発が期待できると説明している。
(早川厚志)

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