ソニー、ディープラーニングの統合開発環境を無償提供

ソニー、ディープラーニングの統合開発環境を無償提供

画像提供:マイナビニュース

ソニーは8月17日、ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console」の無償提供を開始した。

このソフトは、64ビット版のWindows 8.1、10で動作するもので、製品に組み込んで動作させることができる。この開発環境を利用することで、ニューラルネットワークの設計、学習、評価などを効率的に行いながらディープラーニングのプログラムを開発し、各種製品やサービスに搭載できるようになる。

ディープラーニングとは、人間の脳を模倣したニューラルネットワークを用いた機械学習の一手法。ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 シニアマシンラーニングリサーチャー 小林由幸氏は、「脳の学習機能をシミュレーションする技術だ。これによって画像認識技術が向上しており、Deep Learningが登場した2012年以降は50%以上、誤差が改善している。将来は画像認識技術以外にも利用される破壊的な技術だ」と説明した。

このディープラーニングを従来型の機械学習に置き換えて使用することで、画像認識や音声認識の性能が向上。また、汎用性が高く、機械翻訳や信号処理、ロボット制御など広範囲な対象に応用されているという。

同社は2010年からDeep Learningの研究開発に取り組み、2011年からコアライブラリ(Neural Network Libraries)の提供を開始。2016年から提供を開始した第3世代のコアライブラリは、2017年6月からオープンソース(GitHub)として公開している。また、実行を効率化する開発社向けのソフトの開発に2010年から取り組み、2015年からGUIツールを社内で利用してきた。今回のNeural Network Consoleは、それを公開したものだ。

ソニーでは、Xperia Earのヘッドジェスチャー認識機能やデジタルペーパー「DPT-RP1」の手書きマークの認識のほか、ソニー不動産の不動産価格推定エンジンに、Neural Network Librariesを利用している。

小林氏は、今回無償公開した理由について、「ディープラーニング用のコアライブラリは各社から提供されているが、コーディングが必要だ。これは柔軟に利用できるメリットがあるが、その分敷居が高い。今回提供するNeural Network Consoleは、弊社が7年の研究の中で、ほしかった機能を搭載したもので、初めてDeep Learningに触れる人でも、簡単に効率よく利用でき、商品開発レベルにも十分対応できる。公開することで、世の中の技術発展に貢献し、ソフトウェアを洗練させていきたい」と述べた。

また、ソニー R&Dプラットフォーム システム研究開発本部 AIコア技術開発部 マシンラーニングリサーチエンジニア 成平拓也氏は、Neural Network Consoleの特徴について、「柔軟かつ直感的に利用できる。オプションでNVIDIAのCUDA(Compute Unified Device Architecture:クーダ)でも利用でき、マルチGPUによる分散学習ができるなどの特徴がある。また、7月からはPython 2/3に対応し、8月からはC++ APIを公開している」と説明した。

一般的なディープラーニングのプログラム生成においては、ニューラルネットワークの構造を、プログラムのコードを記述して、その関数ブロックを組み合わせることで構築しているが、新開発のNeural Network Consoleでは、この関数ブロックの概念をそのままに、簡便な形でGUI上に表現できるという。コンソールソフトウェアの画面上には、コンポーネントの形であらかじめレイヤー(関数ブロック)が用意されており、それらをGUI上に自由に配置する簡単な操作でニューラルネットワークを構築でき、プログラム開発効率を改善できるという。また初心者は、コアライブラリの機能を視覚的に確認しながら技能の習得が可能だという。

ディープラーニングのプログラム開発ではニューラルネットワークの設計作業が重要で、画像認識や音声認識などに応じて最適なニューラルネットワークを構築し、性能向上へ試行錯誤を繰り返して、ニューラルネットワークを最適化した後、製品・サービスに搭載する必要があるという。とくにIoT領域での利用が期待されるが、これについて、ソニーネットワーク コミュニケーションンズ IoT事業部門 原山直樹氏は、「IoTでは、集まってくるデータが爆発的なもので、人間が作ったロジックでの処理は不可能だ。Deep Learningによって、いろいろなパラメータを試し、性能を向上させることができ、この課題を解決できる」と語った。

ソニーではディープラーニングの統合開発環境の提供を通じて、より幅広い開発者、研究者に利用してもらい、社会の発展へ貢献していくことを目指していくとしている。

小林氏は、「ソニーはディープラーニングで出遅れている部分があり、今回を機に、技術者に認知していただきたい」と、公開の目的を語った。

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