知っているようで知らないO2Oを理解する (7) MA活用とパーソナライズの進化で変化するアプリ接客

知っているようで知らないO2Oを理解する (7) MA活用とパーソナライズの進化で変化するアプリ接客

画像提供:マイナビニュース

店舗販促・集客に特化したアプリが数多くリリースされる中、さまざまな外部サービスとの連携により格段の進化を遂げたアプリも見られるようになった。今回はアプリユーザーの「パーソナライズ」に焦点を当て、その手段と活用事例をひも解いていく。

○アプリにおけるMAの活用局面

リピート顧客の育成過程において、大規模なチェーン店舗になればなるほどその管理は難しく煩雑を極める。特に、飲食・小売の現場において販促担当者の多くは店舗業務を兼ねていることが多く、局面に応じた接客やメッセージングを顧客ごとに行っていくのは非常に難しい。そこで、威力を発揮するのがマーケティングオートメーション(MA)である。

MAを利用すれば、都度配信対象者やメッセージの設定を行うことなく、プッシュ通知で配信するメッセ―ジの内容や付与する特典(クーポンなど)を設定することができる。

例えば、「初回来店の顧客(アプリ)に対して、翌朝サンクスメッセージをプッシュ通知する」「10回来店した顧客に20%オフクーポンを自動的に配信する」など、特定の行動をトリガーとした設計が可能となる。

ポイントとなるのは「即時性」である。月の前半に店舗を訪れて特典付与の対象となっていても、忘れた頃にクーポンが届くのと、来店翌日に届くのであれば効果的なのは間違いなく後者であろう。都度前月の来店実績を確認し、対象を抽出してから付与の設定を行うなどの面倒な設定が不要な点がMAの大きな利点と言える。

○時代とともに変化するユーザーデータの活用

データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)登場前のユーザーデータの活用と言えば、顧客が会員登録時に行うアンケート回答が主であった。顧客は個人情報を開示した上にさらに嗜好などを入力する必要があり、その取得のハードルは非常に高いものだった。しかし、DMPの登場によりWebサイト/アプリの閲覧履歴や物品の購入履歴など、多様なデータを一意のIDで横断的に集計・分析することが可能になった。

当初はEC事業者やオンライン媒体社による活用が主であったが、アプリによる来店計測や店舗でのクーポン利用という考え方が生まれたことで、店舗運営者によるビッグデータの活用、またそれらを基にした販促・集客への活用の機運はさらに高まっている。

○進化する「パーソナライズ」で、アプリ接客が大きく変化する

ユーザーの情報を細部まで取得し、その嗜好に合った情報を配信するオプトイン・メールだけでなく、今やアドテクノロジーの世界でも多様なオーディエンス・データを用いたターゲティングは常識だ。そして、店舗向けアプリにおいても、性別・年代は当然ながら来店頻度、商品などの嗜好に合わせたアプローチが言わずもがな重要である。

アプリ内で取得したユーザーのアンケート情報に基づいた一人ひとりの嗜好、来店履歴やポイント・スタンプの取得履歴などの情報を組み合わせ、それぞれの層に合ったアプローチを行うことがアプリ集客・販促を行う上での鉄則と言える。

ここでは、ユーザーデータを活用してアプリ内接客に活用している事例をご紹介しよう。

パルコ「POCKET PARCO」

パルコはアプリ「POCKET PARCO」を提供している。同社は2016年9月、トレジャーデータの運営するプライベートDMP「TREASURE DMP」を導入し、自社のオーディエンス・データと第三者データ(サードパーティデータ)を統合。自社の顧客特性に応じたセグメントによる記事表示や、プッシュ通知の発信などが行われている。

SUBARU「マイスバル」

自動車メーカーの既存顧客との接点となるアプリにも、DMPによるデータの蓄積が生かされている。

今年3月よりサービスインしたSUBARUのアプリ「マイスバル」では、SUBARU車のユーザーとの長期的なリレーション構築を想定した機能が実装されている。点検・車検の時期をアプリ上から確認できかつ点検予約が行えるなど利便性の高い機能や、同社の基幹システムと連携することで細かな顧客対応が可能としている。

また、アプリ上の閲覧履歴などのデータはDMPに保存され、その他のアクセスログなどと統合的に分析を行うことで広告配信の最適化などに活用されている。

○接客システムの再現&データ活用によるおもてなしを実現した塚田農場アプリ

次に、先日リリースされたばかりの「塚田農場」アプリの事例をご紹介しよう。

同アプリでは、顧客それぞれが「名刺」を持参し、来店回数に応じて「役職」が昇格する同店独自のロイヤリティプログラムを再現。具体的には、顧客の「役職」や来店状況などに応じた情報発信が可能であるほか、アプリの閲覧内容や顧客の注文内容などをデータ化し、嗜好に合わせた情報発信を可能としている。

同チェーン最大の特徴である個性的なサービスと、ビッグデータの活用によるきめ細かな情報発信により、同店のファンをさらに増やすことが目的と言える。

次回は、O2Oの広義の概念ともいえる「オムニチャネル」の実現において必須とも言える、POSレジとアプリの連携事例やその活用方法を紹介する。

著者プロフィール

谷内 亮介

GMO TECH株式会社 O2O事業部 メディアプロデュース部 マネージャー。大学卒業後、私立大学事務局や広告代理店などの勤務を経て、2013年に株式会社ぐるなびへ入社、ビッグデータ・O2Oを用いた販促商品企画に携わる。2016年3月に当社入社。O2Oアプリ作成ASPサービス「GMOアップカプセル」の企画・プロモーション・アライアンスを担当。
(谷内亮介)

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