デジタルならではの体験をムーブメントにつなげる、マーケティング戦略とクリエイティビティとは?

 今回はデジタルマーケティングと切っても切り離せないクリエイティブがテーマ。電通のキリーロバ・ナージャ氏、BIRDMANの築地 Roy 良氏、博報堂ケトルの橋田 和明氏と、カケザンの新野文健が語り合いました。この連載は、マーケティングにおけるモバイル・タブレット活用情報をお伝えする「D2Cスマイル出張版」です。

■デジタルマーケティングの「未来」を拓くクリエイティビティを探る

 今回の記事は、“国内外の広告賞や受賞作品の傾向、デジタルマーケティングの「未来」を拓くクリエイティビティとは何か”がテーマ。D2C主催のクリエイティブアワード「コードアワード2016」に審査員に参加された皆さんと、私、株式会社カケザンのクリエイティブプランナー・新野文健が、自身も広告クリエイティブに携わる見地から語り合います(審査員の詳しいプロフィールはこちらをご参照ください)。
左から、株式会社電通 電通総研Bチーム クリエーティブ/コピーライター キリーロバ・ナージャ氏
株式会社BIRDMAN 代表/クリエイティブディレクター 築地 Roy 良氏(以下、ロイ)
株式会社博報堂ケトル クリエイティブディレクター 橋田 和明氏
株式会社カケザン クリエイティブプランナー 新野文健

■アイデアか、クラフトか、カンヌライオンズに見るデジタルの評価軸

新野:カンヌライオンズを始めとした海外のアワードを見た時に、今の状況をどう捉えていますか?

橋田:カンヌのサイバー部門はすごく難しくなっていますよね。インタラクティブなものというか、インターネット的なものというか、いわゆる「デジタルなもの」がキャンペーンに含まれていることが100%当たり前の世の中で、なにを本当に評価していくのかは本当に難しい。しかも、イノベーション部門もできたからそれぞれの評価軸を考えないといけない。

 今回、カンヌではデジタル・クラフト部門が新設されましたよね。この部門のおかげで、すごく分かりやすくなったと思うんですよ。デジタルクリエイティビティのクラフトを集中して見ようっていう。

ナージャ:デジタルは何でもありになってきていますよね。だから、クラフトをほめる余地がどんどんなくなってきている。「このクラフトはすごいけど、アイデアはこっちの方がある。こっちの方が人のためになる」みたいに。アイデアとクラフトを並べると、クラフトが埋もれてしまう。

 私は昨年のサイバー部門の審査員だったんですけど、審査員のみんなで「クラフトをもっとほめないといけない、そうしないと今後デジタル・クラフトが伸びてこないんじゃないか」、「クラフトよりも、おもしろいアイデアとか社会貢献や課題解決を狙わないとダメだと思うようになってしまうんじゃないか」という話になって。それで、クラフト部門を作ろう! となりました。

新野:クラフト以外だと、昨年のサイバー部門は何を評価するか議論されたんですか?

ナージャ:例えば、実際には普及はしいないプロトタイプの応募に対して、アイデアをほめるのか、実現性をほめるのか議論が起きましたね。あと、「For Good」とまでいかないけど、何かの社会課題をデジタルの力で解決しているものがほめられていましたね。

新野:ソーシャルグッドみたいなものも、かなり多かったんでしょうか?

ナージャ:社会課題や人類の可能性を広げるためにデジタルが使われるものが増えていました。「単純にデジタルですごいテクノロジーを使った・売上が上がった」というよりは、「何のためにやっているのか・デジタルならではの課題解決はどこか」に着眼する方向にシフトしているように感じます。もちろんキャンペーンとして圧倒的に成功しているものもほめられていましたが。

橋田:カンヌ全体を通しても、世の中に対して何をするか、ビジネスにどういう影響を持ったかというリザルトを見る傾向が強くなっている気がしますね。

■世界を舞台に戦える日本企業の「実現性」

橋田:もうひとつ今年の傾向として、デザイン以外で日本が活躍できなくなってきましたね。日本はデジタルがすごく強いっていう状況がずっと続いていたんですが、最近は賞が取れなくなってきている。これは世界が日本に追いついてきたというよりは、日本の作品が世界の賞に合わなくなってきた感じがします。

ナージャ:世界の視点が変わってきたんじゃないでしょうか。昨年も含めて受賞数が少なかったのはそのためだと思います。

ロイ:今年はサイバー部門/モバイル部門で受賞した『GIGA Selfie』やプロモ&アクティベーション部門でブロンズをとった『INTELLIGENT PARKING CHAIR』くらいですよね。一方で、サンスターの『G・U・M PLAY』みたいなプロダクト開発は、日本が結構得意なんじゃないかと思います。

新野:ナージャさんがプロトタイプ的なものをどう評価するかという話をしましたが、『G・U・M PLAY』は実際に売ってますもんね。販売するためには単価を下げたり、品質を担保したりと課題をクリアする必要があって、プロトタイプとは全く違いますよね。

ナージャ:違いはすごく大きいですね。海外の人と話をすると、海外では広告関係のクリエイティブチームがプロダクト開発から入る事例はほぼ存在しないらしいんです。日本はそれがあるし、そういった作品が評価される流れがあるので、そこがチャンスかなと。

この連載は?
本連載はマーケティングにおけるデジタル活用情報を伝えるウェブメディア、「D2Cスマイル」の記事を、MarkeZine向けに再編集した出張版です。出典元はこちらです。

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