チャットボットって何? コミュニケーションを自動化する人工知能の活用を考える

 マーケター向けに、マーケティング分野における人工知能(AI)の活用について解説する本連載。第4回は今年に入って大きく注目されるチャットボットについて少し深掘りし、人工知能との関係や活用するうえでのポイントを整理する。

■そもそも、ボットとは何なのか?

 これまでも、「強い人工知能と弱い人工知能の違い」や「人工知能ブームに火をつけたディープラーニングについて」等、人工知能の基本的な内容について解説してきた(過去の記事はこちら)。今回は、2016年に入り注目されているチャットボットについて紹介したい。

 チャットボットの解説に入る前に、そもそもボットとは何なのか整理しよう。

 ボットとは、ロボットの略称であり、人間に代わって作業を自動的に行うプログラムのことをいう。この言葉自体は、決して最近出てきたものではなく、IRC(※1)での自動会話プログラムがボットと呼ばれていたのが始まりともいわれる。現在、IRCボットに限らず、自動的な処理を行うプログラムをボットと呼ぶようになった。ボットと呼ばれるプログラムの例には次のようなものがある
前述のIRCボットに加え、現在ではDDoS(*2)攻撃やスパム送信などを行うためのプログラム、オンラインゲーム等において経験値稼ぎを自動的に行うプログラム等のように、不正行為を行うような比較的ネガティブなものにも用いられる。
ウェブ上にある情報を自動的に収集するプログラム。代表的にはGoogleが開発した自動巡回プログラムであるGooglebotがあり、収集した情報は検索エンジンに活用されている。
ツイッターと連携し、自動的にツイートを行うプログラム。地震速報やイベント情報など役立つ情報を発信するものもあれば、人間そっくりのツイートを行うものもあり、多数のツイッターボットが作成されている

※1 IRC:Internet Relay Chatの略であり、チャットを行うためのシステム
※2 DDoS:Distributed Denial of Serviceの略であり、標的となるコンピュータに対して複数のコンピュータから大量の処理負荷を与えることでサービスを機能停止状態へ追い込む攻撃手法

■注目が高まるチャットボット

 これらのボットに対して、チャットボットは、一人以上の相手とテキストや音声等を用いて会話を自動化するプログラムである。例えば、マイクロソフトの提供する女子高生AI「りんな」というと聞いたことがある人もいるだろう。

 チャットボットは、2016年4月7日に発表されたLINE上で一般ユーザーもチャットボットを開発・提供できる「BOT API」や2016年4月12日に発表されたFacebook Messenger上でチャットボットを開発・提供できる 「Messenger Platform (beta)」によって大きく注目を集めることとなった。その他にも米国で人気の高いKik 、企業向けのSlack等がチャットボットのストアを公開しており、チャットボットを巡る環境は大きく進展している。

 現在、LINEは日本国内で過半数の約6800万人が利用しており(LINE調べ、2016年1月28日時点)、Facebook Messengerは世界で月間アクティブユーザー数が10億人を超えるサービスとなっている。同じく10億人を超えFacebookに買収されているWhatsApp、中国で大きく普及するWeChat等もあり、これらのメッセージング・サービスは、ユーザーにとって日々のコミュニケーションインフラとして定着しているといえる。

 またメッセージング・サービス上で、自社のアカウントを開設する企業も増加しており、新規顧客の獲得や既存顧客とのコミュニケーションを行うための新たなチャネルとして活用が広がっている。

 ではなぜ、チャットボットを活用してコミュニケーションを自動化することが注目されているのだろうか?

 ウェブサイトやアプリでは階層的なメニューやボタン等によってユーザーニーズを想定したUI(ユーザーインターフェース)を用意することが可能だが、メッセージング・サービスではそうしたUIを提供することは難しい(もちろん、ある程度の階層的なメニューを提供できるような機能もあるが)。

 テキスト中心のメッセージング・サービスにおいて、個々のやり取りを人手で対応するのは非常に効率が悪い。そのためユーザーとのコミュニケーションを自動化することが可能なチャットボットへの期待が集まっているわけだ。
・メッセージのやり取りの中で様々なオンライン行動(検索やショッピング等)を完結することで、ユーザーの囲い込みができる。
・チャットボットを提供するボットストアによって、アプリに代わる新たなエコシステムを形成することができる。
・ユーザーの問い合わせに対する応答や顧客サポート等の自動化によって対応を効率化することができる。
・メッセージング・サービス普及拡大により、自社サービスやコンテンツの利用可能性や接触機会が高い。
・アプリと比べると、インストールが不要であるため低い普及コストで済む。またネイティブアプリの開発コスト高騰に対して、現状チャットボットの開発コストは安価である。
・メールや電話などと比べると、気軽に問い合わせすることができる。また既にメッセージング・サービスをコミュニケーションで最も利用しているユーザーにとっては、普段のコミュニケーションの延長線上で問い合わせすることができる。
・会話という直感的なインターフェースで対応することができる。

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