JTB・スバルが語る、大企業組織の壁を超えてブランディングを実現する方法

 ソーシャルメディアの登場、スマートフォンの普及などで大きな変化が起きつつあるマーケティングの世界。その変化のスピードが速いことで、特に多くの社員やパートナーを持つ大企業のマーケティング部門では、変化への適応に苦労している。MarkeZine Day 2016 Autumnでは、キュレーションマガジンantenna*を運営するグライダーアソシエイツの荒川徹氏をモデレーターとし、JTBワールドバケーションズの西綾乃氏、富士重工業の安室敦史氏を迎えて、ブランディング戦略、及び大企業ならではの苦労やそれを乗り越える工夫について議論が交わされた。

■ネットの普及で変わり続ける購買行動

 今回パネラーを務めるJTBワールドバケーションズの西綾乃氏、富士重工業の安室敦史氏は、共に歴史ある大手企業に努め、約2年前からWebプロモーションを担当するという共通点を持つ。キュレーションマガジンantenna*を運営するグライダーアソシエイツの荒川徹氏による進行のもと、まずはそれぞれの業界の現状を語った。
左より、株式会社グライダーアソシエイツ 取締役 荒川徹氏
株式会社JTBワールドバケーションズ 商品販売戦略部 Web戦略室 Web戦略担当エキスパート 西綾乃氏
富士重工業株式会社 マーケティング推進部 宣伝課 主事 安室敦史氏

 自動車ブランド「スバル」として、様々な車種を展開する富士重工業。車種によっては、納車が3ヶ月待ちになるほど大変好調だという同社だが、業界全体でみると、1台あたりの保有年数は長くなり続け、若年層を中心とした車離れが進むなど、現状は厳しい。

 また、安室氏によれば、ネットの登場によって自動車の購買行動が大きく変化したという。

 「これまで、自動車は複数のディーラーに通い、時間をかけて購入するものでした。ところが現在では、1度ディーラーに行っただけで購入を決めるケースが増えています。これは、購入する前にネットで独自に調べて、来店する頃には既に3台程度に候補を絞っているためです」(安室氏)

 海外パッケージツアーの「ルックJTB」を仕入・造成しているJTBワールドバケーションズでも、顧客行動の変化が見られているという。同社の西氏も、「ネットの登場で旅行のスタイルが変わった」と語る。

 「『FIT(Foreign Independent Tour=個人海外旅行)』という言葉が示すように、現在は飛行機やホテルを個人がネットで簡単に予約できるようになりました。そのため、旅行の仕方が多様化しています」(西氏)

■組織でビジョンを共有することの難しさ

 異なる業種でマーケティングを行う両氏だが、「大手企業での動き方」について多くの共通項があった。

 例えば、コンバージョンやPV、UUなど読者にはおなじみのデジタルマーケティングに関する用語は、他部門にはほとんど通じない。マーケティング部門の組織が大きくなった場合、デジタル広告とマス広告などを扱う部門が分かれており、同じ指標で話すことは難しい。西氏はこれに対し課題を感じつつ、社内向けの対策を進めている。

 「他部門の方は、デジタルマーケティング用語を使うだけで、怪訝な顔をしてきます。しかし、そういった感情になるのもわかります。私自身も数年前までは、代理店の方がお話ししていた『オーガニック』の意味がわかっておりませんでした。そのため、わかりやすい言葉で話を進めるようにしています」(西氏)

 西氏のこの発言には会場でも大きく頷く人が出ると同時に、安室氏もこの課題への対策法を補足した。

 「当社でも『UU』と言っても理解してもらえないことがままあります。そこで重要なのは、社内に理解者を増やすことですね。平易な言葉で伝えることはもちろん、面白がってもらえるよう、社内向けに勉強会を開いています。そうして理解者を増やしていくと、組織の壁を飛び越えるのも大分楽になります」(安室氏)

 大きな組織では、他部署の協力が不可欠だ。そのためにも、西氏は社内用語としてある特殊なキーワードを使っているという。

 「Webプロモーションのキーワードを、当社では『わくわくさくさく』と呼んでいます。『わくわく』はUX、旅行が楽しいことを伝えるサイトを指し、『さくさく』はUI、ユーザビリティの向上を指しています。わかりやすい言葉に置き換えることで、親近感を持ってもらう狙いです」(西氏)

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