マーケソリューションとしての『北欧、暮らしの道具店』とは クラシコムのメディア戦略発表会をレポート

 クラシコムは、2月26日にメディア戦略発表会を開催した。会には、同社 代表取締役 青木氏に加え、同社 取締役 兼 『北欧、暮らしの道具店』店長の佐藤氏も登壇。青木氏はマーケティングソリューションとしての『北欧、暮らしの道具店』について、佐藤氏は『北欧、暮らしの道具店』の中にあるコンセプトや方針、想いについて、それぞれ概説した。本稿では、青木氏による講演と、広告事業における戦略の部分を共有する。

■『北欧、暮らしの道具店』とは、本質的に何なのか

●「北欧、暮らしの道具店」は新しい形の出版社である
株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏

 発表会は、同社 代表取締役の青木氏が提示した「『北欧、暮らしの道具店』とは、本質的に何なのか」というテーマから始まった。

 ビンテージの北欧食器を1点ずつ販売するECサイトとして誕生した『北欧、暮らしの道具店』。それが今では、物販の売り上げの4割がオリジナル商品となり、広告事業を展開、最近ではドラマ制作・配信も手掛けるようになっている。

 このように多様な要素を持つ『北欧、暮らしの道具店』を、青木氏は、「特定のライフスタイルを持つ人、望む人向けのパブリッシングプラットフォーム」と表現。さらに、「総合出版社というよりは、ある領域に特化した新しい形の出版社である」と説明を加えた。

 『北欧、暮らしの道具店』は、「フィットする暮らし、つくろう」や「日常にひとさじ分の非日常を」というコンセプトのもと、Webの記事や雑貨、洋服、ドラマ、メルマガなど様々なパッケージでコンテンツを作り、対象の顧客へ届けている。

 出版社の本質的な仕事を「情報を様々な媒体に転写してディストリビューションし、影響を与える能力をマネタイズすること」「情報を作る力と届ける力を持っていること」と定義すると、『北欧、暮らしの道具店』は、出版社に近いと捉えられるのだという。

 また、プラットフォーム上でコンテンツを販売し、蓄積されたIPを興行という形で展開するというビジネスの構造も、出版社と共通している。青木氏は、「出版社とならこういう取り組みができるんじゃないかと思った時、我々にご相談いただければ、ほぼそれに近いことをご案内できると思います」と話し、マーケティングソリューションとしての『北欧、暮らしの道具店』を説明した。

●『北欧、暮らしの道具店』にある4つのユニークポイント

 次に青木氏は、テーマを「『北欧、暮らしの道具店』がパブリッシャーとしてユニークなポイント」に移し、4つのポイントを説明した。

 まず1つ目に挙げられたポイントは、『北欧、暮らしの道具店』はお店であるということ。それゆえに、主観的なコミュニケーションが成り立つ点が強みだと話した。たとえば、雑誌で“編集長のおすすめ”と訴求すると客観性に欠ける印象が強くなってしまうが、同社の場合は、編集長=店長であるため、純粋に良いと思った商品をユーザーに紹介することができる。   

 普段からお店の商品を主観的におすすめしているため、タイアップ記事の場合でも、最初から商品を紹介するためのコミュニケーションを取ることができるのだ。実際に同社では、記事の冒頭であらかじめ、そのコンテンツが記事広告であることを明記している。

 2つ目のポイントは、「ある特定のライフスタイルに対するプロトコルを完全に理解している」こと。趣味性の高いメディアでは、「わかってないのに、儲かりそうだからやってるな」と、発信者の思惑をユーザーに瞬時に見抜かれてしまう。特定のカテゴリーのユーザーへコンテンツを届けるためには、その特定のカテゴリーにおけるプロトコルを深く理解することが重要だという。

 「趣味性の高いメディアでは、お客様が受け入れられるカプセルにコンテンツを入れないと、受け入れられません。お客様に受け入れられる商品、広告、動画コンテンツを届けるパッケージング能力が我々の強みです」(青木氏)

 続けて3つ目のポイントとして、ユーザーとの距離が近いことを挙げた青木氏は、「コンテンツを届けるためには、お客様との距離感も大事。どの距離感にいる人の声が届きやすいのかは、時代とともに変化しています」と述べ、これまで発言権がどのように転じていったか、次のように説明した。

 第一の作り手であるデザイナーの発言権が強かった1980年代を過ぎ、1990年代になると、セレクトショップブームが到来。これにともない、キュレーター、バイヤーの発言権が強くなっていった。さらに2000年代には読者モデルを代表とするプロの使い手(消費者)へと発言権が移り、現在はインフルエンサーの活躍から見られるように、消費者自身が情報を発信し、人々に大きな影響を与えられるようになっている。時代の変遷とともに、コンテンツの発信方法を変えていくことは、非常に重要ということだ。

 そして、『北欧、暮らしの道具店』は、ユーザーと同じ目線、距離感でコンテンツを届けていると青木氏は主張。これが実現できているのには、全スタッフが顔と名前を公開し、それぞれの人となりを紹介するコンテンツを発信するなどの様々な工夫があるそうだ。

 最後に4つ目のポイントは、「点ではなく線でのコミュニケーションができる」こと。『北欧、暮らしの道具店』の閲覧者は、過去20回以上訪問経験のある人が5割を占めている。つまり、ユーザーのメディアへの接触頻度が高く、ハイコンテキストなコミュニケーションが可能になるというわけだ。

 青木氏は、この4つの強みをもとに、「『北欧、暮らしの道具店』は、直接的かつ親密に商品やサービスを紹介できるプラットフォームである」という結論を示し、これからの成長戦略へとテーマをつなげた。

●2019年中に映像レーベルを立ち上げ

 最後に青木氏は、今後の成長戦略について、次のように語った。

 「商品やコンテンツ、広告などをある一つの価値観で束ねることで、ある特定のお客様の可処分所得を増やしていただくことが、我々の成長戦略です。お客様の住みたい家、食べたいお菓子、余所行きのために欲しい服など、より一層広い分野でニーズにお応えできるような成長をしていきたい。南米暮らしの道具店とか、ホリゾンタル的に広げていくのではなく、深いところでメディアサービスを拡充していきたいです」(青木氏)

 その中で、同社が今注力しているのが、映像メディアレーベルの立ち上げだ。特定のスタイルの映像作品を制作し、ディストリビューションする映像レーベルを2019年中に立ち上げる予定だという。

 次ページで説明する、同社が発表した新しい広告プランでも、映像・動画がキーワードとなっていた。

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