「オフラインとオンラインは区別しない。すべてをCXの一部に」メルカリがオフライン施策に注力する理由

 日本の月間利用者数が約1,300万人、流通総額1兆円を突破した国内最大級のフリマアプリ「メルカリ」では、近年、日本郵便やヤマト運輸との連携を強化するなど、オンラインだけでなくオフラインでの取り組みも活発だ。メルカリがオフライン戦略を強化する意図はどこにあるのか、メルカリジャパンCEOの田面木 宏尚(たものき・ひろひさ)氏に聞いた。

■オフラインもメルカリのCXの一部

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、オフラインの取り組みを強化することになった経緯を教えてください。

田面木:そもそも、我々の中で、オンライン・オフラインというのを明確に区別していません。言い換えると、オフラインで行う施策もすべて「メルカリ」内のCXの一部だと捉えています。郵便局の窓口で出品するのも、宅配で受け取るのもアプリ上の体験の延長でしかありません。
株式会社メルカリ 執行役員 メルカリジャパンCEO 田面木 宏尚氏

MZ:確かに、利用者の方からすればオフラインであろうがオンラインであろうが、「メルカリ」を通じた体験の一部ですね。

田面木:その通りです。現在オフライン上の体験を向上させるための代表的なパートナーとしては、日本郵便様やヤマト運輸様が挙げられます。両企業はともに創業期から連携を進めており、その範囲が広がってきているのが現状です。

 フリマアプリならではだと思いますが、「メルカリ」の場合、どうしてもアプリ上だけでは完結できないんですよね。出品から梱包、配送までの間には、必ずオフラインも関わってきます。つまり、純粋にメルカリのCX改善を突き詰めてきた結果、オフライン施策への注力にもつながりました。

 「メルカリ」の日本国内での認知はある程度取れており、月間アクティブユーザーも1,300万人を超えるなど順調に伸びています。しかしながら、国内のスマホ所有者はまだまだいて、「メルカリ」を使ったことのない方のほうが多いと思います。だからこそ、誰もが使いたくなるようなCX設計を目指して日々改善しています。

■N=1の取引を重視した改善を

MZ:現状で「メルカリ」を利用していない、利用頻度が少ないユーザーが抱える懸念点はどこにあるのでしょうか? 私自身利用していると、梱包や発送に少し面倒くささを感じることがあるのですが、そこがネックになっていたりするのでしょうか。

田面木:確かに「梱包や発送が面倒である」というのは、出品に対する課題の一つだと思います。そのような声も一定数いただいているので、先日も日本郵便様と一緒に梱包負担を軽減するための「つつメルすぽっと」の設置を開始しました。対象の郵便局内に梱包資材を用意することで、郵便局に行けば簡単に梱包と発送が行えるようになっています。現在は首都圏の5つの郵便局で試験導入を進めているところです。
つつメルすぽっと

MZ:確かに、梱包資材の用意などが地味に大変なんですよね。梱包と発送を一気にできるのは便利そうです。

田面木:ただ、梱包以外にも様々なネックポイントがあり、人によって様々です。ダウンロード前、後に関わらずできるかぎり一人ひとりの生活者と向き合い、「メルカリ」を快適に利用いただけるようにしたいです。

MZ:「メルカリ」のユーザー層は幅広い印象があるので、カスタマージャーニーも無数にありそうですね。

田面木:おっしゃる通りで、カスタマージャーニーはかなり複雑化しており、母集団から傾向を見るのは難しくなっています。そのため我々は「N=1」の取引を重視しています。各取引のデータを蓄積しながら、その中でも特殊なものを分析し、あらゆるカスタマージャーニーを見出すようにしています。

MZ:特定の取引にフォーカスを当てて分析、改善をしているんですね。

田面木:そのため、VOC(Voice of Customer)も非常に重視しています。我々のもとには、毎日お客様からの声が多数寄せられていますが、それを全社的に見るようにしています。現在は「VOCカフェ」という執務スペースを設け、様々な部署から集まった社員がそこでお客様の声を見ながら改善案などを考えています。そうすることで、全社員が顧客目線でサービスに向き合えるようにしています。経営陣による会議でも、VOCをもとに議論する時間があります。

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