テレビCMの効果可視化はここまできた NTTドコモが挑むスマートテレビ視聴データの「個人推定」とは

 デジタルマーケティングが浸透するにつれ、先進的な事業会社では、オンラインとオフラインを統合した「広告効果測定」さらには「広告予算の最適化」のニーズが高まっている。NTTドコモはこうした課題に際し、インテージと共同で、テレビCMの視聴状況を機器単位ではなく人単位で把握できる50万もの調査パネルを開発。キャンペーンへの適用トライアルを進めている。この取り組みの詳細をNTTドコモの関口智樹氏とインテージの中村聡子氏に取材した。

■テレビCMの視聴分析はどこまで可能になったのか?

MZ:今回は、NTTドコモの関口さんとインテージの中村さんにお越しいただきました。まずお二人が担当する業務領域をうかがえますか。

関口:私は元々大学でデータサイエンスを研究しており、データサイエンティストとしてNTTドコモ(以下、ドコモ)に入社しました。現在は、各事業を横断して支援するデジタルマーケティング推進部で、自社プライベートDMPのデータ整備や分析、外部データの取得などを進めています。

 直近で特に注力しているのは、外部データの中でもテレビ視聴データの取得です。当社ではテレビCMを全国的に出稿していますが、なかなかエリアごとに性年代などの属性やコンバージョンを意識した詳細な視聴分析ができていなかったので、その可視化を目指しています。

中村:インテージでは、数年前からドコモさんのマーケティングを支援しています。最近では携帯電話の通信領域以外にも決済やポイントなど事業が多岐に広がっているので、それぞれにおいてドコモさんのユーザーデータと当社のストックデータやアンケートなどを基に分析し、アクションプランにつなげるお手伝いをさせていただいています。

MZ:ドコモとしてお持ちのユーザーデータは携帯電話の契約者データかと思いますが、インテージとして保有されている個人のメディア接触に関するデータにはどのようなものがあるのですか。

中村:「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」という数万の調査パネルで、属性と意識、メディア接触状況、消費財の購買履歴を把握しているので、これを活用してユーザー分析を支援しています。このパネルの中から、たとえば特定のサービスを使っているユーザーにアンケートを採り、意識やログを掛け合わせて分析するといったことも行っています。

■人単位のパネルデータは量、スマートテレビ単位のデータは質に課題

株式会社NTTドコモ デジタルマーケティング推進部 デジタル戦略担当 関口智樹氏

MZ:ドコモは、近年確かに携帯以外の様々な分野に進出され、テレビCMも個別に出稿していますよね。テレビCMの視聴分析や効果測定は、これまでどのようにされていたのですか。

関口:我々が最終的に目指しているのは、テレビCMでもデジタルのような効果測定を可能にし、広告費全体を最適化することと、テレビとデジタルを横断した統合的なマーケティングができるようになることです。

 ただ、それは一足飛びには難しいので、まずはテレビCMのなるべく精緻な効果測定に取り組んできました。具体的には、i-SSPの個人視聴データや、そこに購買情報を紐付けたデータなどを使って、実際にテレビCMを放映したあとにどのくらい態度変容や行動変化があったのかを調査したり、加えてアンケートでのブランドリフト調査なども実施してきました。

MZ:そこに、どのような課題があったのでしょうか。

関口:量と質のそれぞれに、課題がありました。まず量の点では、i-SSPは属性項目は細かいもののテレビ視聴データに絞ってみると数千人の単位なので、たとえばコンバージョンに至った数、あるいはエリアごとの数などに絞り込むと数十人になってしまうこともあります。その桁数だと、今後のプランニングの意思決定に使うには心もとないという状況でした。

 この課題を解決するために、たとえば全国120万台から収集しているスマートテレビの視聴ログデータや、パネルデータを拡張したデータを使ったりしたのですが、すると質の点でi-SSPに劣ってしまうのです。視聴傾向をi-SSPと比べると乖離があったりして、精度の問題がありました。

続きはMarkeZineで

関連記事(外部サイト)