情報拡散は「ファン」から「マス」へ キリン×サイボウズが語る、愛され続けるブランドに必要なこと

 あらゆる商品・サービスのコモディティ化が進み、差別化が難しくなった今、顧客に選ばれ続けるために企業は何をするべきなのか。本稿では、7月9日(火)に開催された「MarkeZine Day 2019 Focus」から、モデレーターにクラシコムの高山達哉氏をお招きし、キリン加藤氏、サイボウズ大槻氏の二名に登壇いただいた、「愛され続けるブランドに必要なこと」をテーマにしたパネルディスカッションの様子を紹介する。時代の変化に柔軟に対応しながら、顧客との強固な関係性を築き上げている2社の取り組みから、「愛され続けるブランド」になるためのヒントを探る。

■キリンとサイボウズの「愛され続けている」ブランド

高山:本日は「愛され続けるブランドに必要なこと」というテーマで、キリンの加藤さんとサイボウズの大槻さんにお話を聞いていきたいと思います。まず、それぞれの「愛され続けているブランド」を改めて教えていただけますか?

加藤:当社の愛され続けている商品、本日は「キリンラガービール」「ハートランドビール」の2つをご紹介したいと思います。キリンラガービールは発売開始から130年以上が経っており、他のビール類商品に比べて広告宣伝費をあまりかけていないのですが、今でも根強いファンの方に支えていただいている商品です。
キリンホールディングス株式会社 デジタルマーケティング部 加藤美侑氏

 ハートランドビールは発売開始から30年以上の商品ですが、従来のビールとはボトルデザインをガラリと変えていて、「KIRIN」の文字も、聖獣「麒麟」の絵柄もありません。当時の担当者が、お客様にとって「ビールは何を飲んでも変わらない」画一化したものになっていると分析し、キリンブランドではないビールの楽しさを提供する商品として、味やデザインまでこだわり抜いて開発したものです。こちらも、これまでほとんどプロモーションしていないのですが、多くの方々に支持されて売上も順調です。

高山:さらっとおっしゃっていますが、それ、かなりすごいことですよね(笑)。なぜ、プロモーションをあまりせずに売上を伸ばせているのでしょうか?
株式会社クラシコム 事業開発グループ マネージャー 高山達哉氏

加藤:お客様からは、「とにかく味が好きだ」という意見をよくいただきます。「ここまで好みに合うものは他にない」と。

高山:なるほど、それにしてもすごい……。広告宣伝に頼らずとも伸び続けている商品・サービスをもっているのは、企業にとってかなりの強みですよね。サイボウズさんはいかがでしょうか。

大槻:1997年に創業し、最初にリリースした「サイボウズOffice」というツールですね。ブラウザで簡単にスケジュールが共有できるというシンプルな機能を持たせたツールなのですが、リリースから20年以上経過した今も売れ続けています。3年前にも、過去最高売上を更新しました。
サイボウズ株式会社 ビジネスマーケティング本部 コーポレートブランディング部長 大槻幸夫氏

 その後にメールワイズやkintoneをリリースしました。kintoneはUSや中国でも利用されています。爆発的なブレイクはないのですが、長年かけてじわじわと売れ続けている感じですね。

■ファンとのエンゲージメント向上を目的にnoteアカウントを開設

高山:ありがとうございます。では、両社の愛され続けているブランドをお伺いしたところで、早速本日の本題に入っていきたいと思います。愛され続けるブランドを作るために、企業は何に取り組んでいくべきなのでしょうか。それぞれ実践されているお取り組みを教えていただけますか?

加藤:直近だと、ファンとのエンゲージメント向上を目的にnoteアカウントを開設しました。SNSアカウントももちろん運用しているのですが、コミュニケーションというよりは「広告用のプラットフォーム」として利用する傾向にありました。広告的な機能は必要ではあるのですが、ブランドの理念や想いなど、「ブランドストーリー」を伝えきれていないことに課題感をもち、キリンビール公式noteを開設したのです。

 noteでは、同じ価値観を持つ方々がつながるコミュニティを形成したいと考え、ブランドやテーマごとにコンテンツを作り、それぞれをフックにファンを集め、自然にコミュニティが形成されるよう設計しています。

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