王子HDのセルロースナノファイバーが一般向けカーケミカル製品に採用

王子HDのセルロースナノファイバーが一般向けカーケミカル製品に採用

セルロースナノファイバーは、日本の林業の冬に終わりをもたらすことができるか?

 王子製紙などを傘下に持ち、紙や木材そしてそれに関連する製品を広く手掛けている王子ホールディングスは、目下注力中の最新マテリアルであるセルロースナノファイバー(CNF)を利用した増粘剤の製品「アウロ・ヴィスコ」が、一般消費者向けのカーケミカル用品の原材料として採用されたと発表した。

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 同製品は、既に市販されている天然の増粘剤に比べ、10倍から100倍という高い粘度を持つ。従って、少量の添加でも十分な効果を持たせることができる。また、静止状態では高粘度であるが、撹拌など力を加えるとサラサラになるという性質(チキソ性と呼ばれる)を有しているのも特徴であるという。さらに、チキソ性によって低下した粘度は、一定時間放置しておくだけで元の粘度まで回復する。

 これらの性質が評価され、国内の一般消費者向けのカーケミカル用品の増粘剤として採用され、5月末から提供が開始されている。

 セルロースナノファイバーは、その名の通りセルロース、すなわち植物の繊維を用いる。セルロースをナノ単位にまで分解し、再構成し、新たな材質としたものがセルロースナノファイバーである。

 セルロースナノファイバーの登場によって期待されているのは、わが国における林業の再生である。よく知られているように、日本の林業の衰退は長年にわたり著しい。その原因は多岐に渡ろうが、国産木材の需要そのものが乏しい、というのは重大な問題の一つであった。

 そこに登場しようとしているのが、セルロースナノファイバーだ。セルロースナノファイバーの普及は、日本の林業の救世主たり得るかもしれない。

 王子ホールディングスは、日本のセルロースナノファイバー研究のリーディングカンパニーの一つである。今回のアウロ・ヴィスコの他にも、シート状の「アウロ・ヴェール」、それを立体成型可能にした「アウロ・ヴェール3D」についても、目下サンプルを配布するなどし、新たな事業化の道を開拓している。

(藤沢文太)

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