AIによる飲食店舗向け賃貸物件の家賃決定システムが試験運用へ

AIによる飲食店舗向け賃貸物件の家賃決定システムが試験運用へ

飲食店向け居抜き物件のイメージイラスト。(画像:いらすとや)

 居抜き、という言葉がある。営業設備が付帯した状態で売買・賃貸される物件、という意味であり、多くの場合は飲食店向けの不動産物件について用いられる。居抜き物件を手がける不動産会社ABC店舗は、7月3日から、奈良先端科学技術大学院大学の研究グループと共同で、居抜き物件の家賃の適正額を推定するAIによるシステムの試験運用を開始する。

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 不動産の(賃貸)価格決定、というのはなかなかに悩ましい問題である。まず前提として、高くしすぎるのも安くしすぎるのもそれぞれの理由があって、望ましくない。

 居住向けの不動産物件であれば、鉄道路線ごと、物件タイプごとの相場というものがあり、また膨大なデータの蓄積があるから、ある程度までは具体的な金額を算出することができる。

 しかし、居抜き物件の賃貸価格決定は、難しいものであるらしい。結局のところは、長いキャリアを持つ営業マンなどが、経験と勘に基づいて設定せざるを得ない、つまりは、職人芸の世界なのだそうだ。しかも、その職人芸は共有することが難しいため、営業マンが変われば同じ物件でも値段は変わってしまうし、また、営業マンの新人を育成するからといって簡単に教えられる性質のものでもないという。

 そこで、AI(人工知能)である。ABC店舗は、業界に先駆け、2011年から奈良先端科学技術大学院大学と共同研究を行い、飲食店向け不動産店舗の賃料推定技術の開発に取り組んできたという。

 研究開発にあたってはもちろん既存の営業マンの知見なども参考にされているのではあるが、このシステムが完成すれば、賃料決定の根拠を明確にすることができないという業界の悪弊が取り払われ、不動産業界全体において、居抜き物件の合理的な価格設定を行うことができるようになるのではないか、と期待されるところである。

(藤沢文太)

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