核融合研、核融合炉の実用化に不可欠なイオン温度1億2000万度を達成

核融合研、核融合炉の実用化に不可欠なイオン温度1億2000万度を達成

核融合反応のイメージイラスト。

 岐阜県土岐市にある自然科学研究機構核融合科学研究所(核融合研)が、独自の技術である超伝導核融合プラズマ実験装置LHD(大型ヘリカル装置)を用いて、プラズマ中のイオン温度1億2,000万度を達成することに成功したと発表した。これにより、ヘリカル型核融合炉の実用化に向け、大きな一歩が踏み出されたことになる。

【4月に1億度】核融合研、重水素プラズマ生成実験で1億度を達成

 核融合研では、2017年3月7日から、これまでの軽水素ガスではなく重水素ガスを用いた実験を行ってきた。重水素プラズマは軽水素プラズマよりも温度等において高い性能を実現しうることが過去の研究において判明しており、その結果には高い期待が寄せられていた。

 核融合実現のための必要課題は様々あるが、中でも最も重要な条件の一つが、「イオン温度1億2,000万度」である。過去に作られた「トカマク型」と呼ばれるシステムでは、一応はこの1億2,000万度が達成されているのだが、安定した定常運転を続けることが難しいという問題があった。

 そこで発展系のシステムとして造られたのがヘリカル型なのだが、今度はイオン温度1億2,000万度を達成できない、という状況が続いていた。それが打開された、というのが今回の報告である。

 ちなみにトカマク型も、ヘリカル型も、プラズマが磁力線に巻き付いて運動するという性質を利用し、磁力線で編んだカゴ状の容器の中に高温・高密度のプラズマを閉じ込める、磁場閉じ込め方式と呼ばれるシステムである。ただ、ヘリカル型の方がコイルの構造が複雑になっており、それゆえにコイルに定常的に電流を流しやすくなっている。

 なお、現在フランスに、国際共同研究施設として核融合燃焼を行っているITER(国際熱核融合実験炉)という装置が存在するのだが、これにはトカマク型が採用されている。今後、この先ITERの先に来る、実際に発電を行う核融合発電炉において、ヘリカル型は最有力の候補となれるのではないかという。

(藤沢文太)

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