中性子星同士の衝突が史上初めて観測される

中性子星同士の衝突が史上初めて観測される

GW170817が起こしたキロノバの想像図。(画像:国立天文台発表資料より)

 中性子星同士が衝突し合体して大爆発を起こす現象「キロノバ」が、天文学の歴史上初めて観測された。

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 2017年8月17日にLIGO-Virgo共同実験の重力波観測がその予兆を捉え、全世界の天文学者や関連機関に急報。その後、日本の重力波追跡観測チームJ-GEM(Japanese collaboration of Gravitational wave Electro-Magnetic follow-up)を含む世界の複数の観測チームが、うみへび座の方向1億3,000万光年のかなたにある重力波天体GW170817からの重力波と電磁波の観測に成功したのである。

 キロノバは中性子星の連星、もしくは中性子星とブラックホールが融合することによって発生すると理論的には予測されてきた。2013年にそれらしきガンマ線バーストが発見された例はあるが、確証に至るものではなかった。今回の観測は、理論的には予測されていた、キロノバという現象の存在を実証するという価値のあるものである。

 キロノバはなぜ重要か。それは、この現象が重い元素の発生に関わっていると考えられているからだ。

 ビッグバンが起こり、宇宙ができたばかりの頃、その構成物質のほとんどは、軽い元素である水素とヘリウムであった、と考えられている。のちに起きた恒星の核融合によって鉄までの重さの元素は生成されたが、それより重い元素はどうであったのか。

 超新星爆発が重い元素を生み出すことは間違いないのだが、超新星爆発は宇宙のスケールにおいてもさほど頻繁に起こる現象ではないので、他にも何らかの、重い元素の発生源が必要であった。理論的には、それが中性子星合体によるバースト、キロノバであると予測されていたのである。

 キロノバの発生1回あたりで、地球ではレアアースや貴金属として扱われている元素が、地球の1万倍の質量という規模で発生すると考えられている。

 なお、今回の観測の理論面のシミュレーションには、国立天文台のスーパーコンピュータ「アテルイ」が活躍し、その分析は観測データと合致していたという。

(藤沢文太)

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