熟練者の知識体を系化して稼働率向上するラーニングファクトリ導入 東大

熟練者の知識体を系化して稼働率向上するラーニングファクトリ導入 東大

導入されたラーニングファクトリ(画像: 東京大学の発表資料より)

 熟練者の知識を体系化して生産システムの構築を行うことは、製造業が直面する大きな課題の1つである。熟練者の知識を活用することが特に求められるのが、生産システムの稼働率向上である。これまでは熟練者の経験と知識を元に試行錯誤的な手法により、稼働率向上に向けた取り組みが行われることが主であった。東京大学の研究グループは2日、熟練者の知識を体系化するために、理想的な生産ラインを模擬したラーニングファクトリ(LF)を導入したと発表した。

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 生産システムの稼働率を上げるうえで主に障害となるのが、不具合による稼働停止であり、出来る限り不具合を防ぐために継続的な改良を各個所で行っていくことが必要とされてきた。だがその不具合は、再現性の高いものではないため、改良には熟練者の試行錯誤的な知識を用いざるをえなかった。

 そのような背景から、研究グループは理想的な生産ラインを模擬したLFを導入。このLFは過去の実験や名工からのアドバイスを元に、様々な不具合を意図的に起こす機能が組み込まれている。そのため、再現性が高くない不具合であっても意図的に起こすことができ、効果的に生産手法の検討を行うことが可能となっている。このような機能を有する生産システムのLFは世界的にもこれまでになかったものであるという。

 また今回の研究成果として、LFの実機をシステム的に複製したデジタルツインを作成したことも大きい。デジタルツインによって、生産システムの稼働情報がデジタル上に蓄積されるため、不具合データのデジタル的な蓄積も可能となった。特に、速度ロスや干渉ロスなどの目視では確認しにくいデータを分析することもできるため、より効率的な改善につながることが期待される。

 これまでの製造業では、「カイゼン」に代表されるような非体系的な知識に基づく試行錯誤的な改善が主に行われてきた。だが今回のようなLFが普及することによって、熟練者の知識を体系化して稼働率向上に向けた改善が可能となる。今後はAI技術なども取り入れながら、国内の製造業の競争力が高まることが期待される。

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