将来超新星爆発を起こす連星系発見 涙を流そうとする星も ケック天文台

将来超新星爆発を起こす連星系発見 涙を流そうとする星も ケック天文台

約3000万年後のHD265435のイメージ 準矮星の表面にあるガスが白色矮星によって吸い寄せられ涙を流しているかのように見える。 (c) University of Warwick / Mark Garlick

 私たちにとって最も身近な恒星はもちろん太陽だが、太陽のように単独で輝いている恒星は、宇宙では少数派であり、むしろ連星系を成している恒星のほうが多い。連星系のうちでも特別な条件下にあるものは、やがて超新星爆発を起こす運命にある。それらの中には、超新星爆発を起こす直前に連星間の重力バランスの影響により、まるで涙を流しているかのような姿を現す恒星がある。

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 ハワイのマウナケア山頂にあるケック天文台は12日、やがて涙を流す恒星を含んだ連星系を発見したと発表した。この連星系は、地球からおよそ1500光年離れたところにあるHD265435で、白色矮星と準矮星の2つの恒星から成っている。

 白色矮星は、太陽質量の10倍未満の規模を持つ恒星が核融合を終えた成れの果ての姿の星であり、質量のわりに直径が小さく高密度でしかも暗いという特徴を持つ。白色矮星が暗い理由は、すでに核融合反応が終わっており、その星が持っている熱輻射によってのみ、光を放っているためである。一方準矮星は、太陽よりも質量が小さく暗いが、核融合反応によって光を放っているため、白色矮星よりは明るい。

 HD265435では、重くて暗い白色矮星がより明るく輝く準矮星と引き合う形で、公転周期が僅か100分という猛烈なスピードで回転している。Ia型超新星は、一般に白色矮星のコアが再点火して熱核爆発を引き起こすときに発生すると考えられているが、再点火の条件としてチャンドラセカール限界という値がある。これは太陽質量の約1.4倍に相当し、白色矮星が準矮星のガスを吸い寄せて単独でこの質量に到達するか、または白色矮星と準矮星の合計質量がこの値を超える場合が考えられる。

 HD265435の場合、後者の条件を満たすと考えられ、白色矮星と準矮星が約7000万年後に合体し、チャンドラセカール限界を超えることになる。おそらくHD265435が流す涙を地球から確認できるのは、今からおよそ3000万年後あたりになるだろう。ただし、そのころ人類が滅亡していなければの話だが。

 なお、本件はケック天文台の協力を得て本研究に携わったウォーリック大学の天文学者らによる論文がNature Astronomy誌に投稿されており、概要の閲覧が現在可能となっている。

(cedar3)

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