変異株含む新型コロナウイルスを不活化する光触媒開発 東大ら

変異株含む新型コロナウイルスを不活化する光触媒開発 東大ら

開発された光触媒が新型コロナウイルスを不活化する模式図(画像: 東京大学の発表資料より)

 新型コロナウイルスの感染経路として、飛沫感染の他に器物表面を介した接触感染も起こりうると考えられている。そのため、こまめなアルコール消毒を行うことに加えて、抗ウイルス・抗菌作用を有するコーティング技術の開発が望まれている。東京大学と日本ペイントホールディングスの共同研究グループは15日、これまで開発に取り組んできた抗ウイルス性ナノ光触媒に関して、アルファ変異株を含む新型コロナウイルスに対し、顕著な不活化効果を示したと発表した。

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 抗ウイルス・抗菌作用がある光触媒の1つとして、酸化チタンと酸化銅の複合型光触媒が、従来の研究により発表されていた。1価の酸化銅はウイルスを不活化する効果があり、1度2価に酸化されても、光が当たれば1価に戻るため効果が持続する。

 だが従来の光触媒は表面積が小さく、反応性が十分でないことが課題であった。また光触媒は、主に塗料中に混合して使用されるが、塗料中の分散性も低いため、塗膜にしたときに表面に分布させにくいという問題もあった。光触媒自体の透明性も低いため、下地の色や模様などを生かせない点も解決が望まれていた。

 そこで今回の研究では、酸化チタンと酸化銅のサイズを数ナノメートルまで小さくすることで、これらの問題を解決。サイズが小さいことで表面積が上がり反応性が大きくなるとともに、塗料中での分散性が向上。また、光触媒のサイズが光の波長よりはるかに小さいことで、透過性も大幅に上がることが確認されている。

 この光触媒は、アルファ変異株を含む新型コロナウイルスへの顕著な抗ウイルス効果が実験によって確認された。光触媒を含む塗料がない場合と比較して、感染可能なウイルス数が3千分の1から6万分の1にまで減少させる効果があったという。

 新型コロナウイルス表面の受容体結合ドメインと呼ばれる部分を、光触媒によって変性していることが明らかになった。受容体結合ドメインは人間の細胞表面と結合する箇所であるため、ここを変性させることで不活化できるのだ。

 今回の研究で開発された光触媒は、新型コロナウイルス以外のウイルスに対しても不活化効果を有すると期待される。そのため、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束した後にも感染症のリスク低減につながることが期待される。

 今回の研究成果は、論文プレプリント速報サイトの「ChemRxiv」に掲載されている。

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