猛暑が来てからじゃ遅すぎる! 失敗しない「断熱リフォーム」の方法

猛暑が来てからじゃ遅すぎる! 失敗しない「断熱リフォーム」の方法

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◆今こそ、断熱リフォームの最適期

 冬が去り、過ごしやすい気候の日が増えてきた。こんな時期こそ、猛暑の来襲に備えて自宅の断熱リフォームを検討したい。古くなった住宅の見た目を良くするリフォーム(リノベーション)そのものは、ブームと呼ばれるくらい流行っている。せっかくリフォームするなら、その際に断熱工事を合わせて行うことをお勧めしたい。暑さや寒さの改善に加え、湿気や騒音を大幅に改善につながるためだ。

「断熱」という響きから「冬に家を暖かくする」というイメージを持つ人がいるが、それは違う。住宅を適切に断熱することで、夏も涼しく過ごすことができるようになる。そこで、夏対策を中心とした断熱リフォームのポイントと、リフォーム業者の選び方について紹介する。

◆マンションなら窓と壁の断熱で劇的な効果が

 断熱リフォームで費用対効果が高いのは、なんといっても窓まわりだ。サッシそのものを交換するとコストが高くなるので、窓の内側にもうひとつ窓を設置する内窓が適している。内窓であれば、壁を壊すことなく1か所あたり30分から1時間程度で手軽に取り付けることが可能だ。

 種類としては、サッシは断熱性能の高い樹脂製で、ガラスは2枚のタイプがいい。さらにガラス表面に断熱、遮熱の加工がされたLow-Eタイプのものであれば更に効果が高い。できれば家のすべての窓の内側に設置したいが、夏対策を優先するのであれば、まずは特に暑くなる部屋の窓から優先するのもいい。なお、自治体によっては内窓設置に一部補助が出る制度もあるので、設置前に調べてもらいたい。

 マンションの場合は窓の面積が限られるので、すべての窓に内窓を設置しても30万円から60万円程度のコストで済む。夏も冬も快適で省エネになることに加え、結露が発生しにくくなることで、ダニやカビの抑制にもつながる。その価値を考えれば、やらない理由はないと言えるほどだ。

 マンションでもうひとつ対策するとしたら、壁の内断熱だ。ただし、いったん内装材を剥がして断熱材を入れるという工事が必要になるので、内窓に比べて工事費は高くなる。そこで、壁の内装材などを交換する時期に合わせてやるとコストパフォーマンスは上がる。

 とはいえ、戸建住宅と違って上下左右に部屋のあるマンションの中部屋の場合は、他の部屋が断熱材代わりになり、手を入れる場所が限られる。壁の内側に断熱材を入れる必要があるのは、直接外と接する面のみなので、ハードルはそれほど高くない。内側に断熱材を入れることで、外に面した部屋は数センチ狭くなるが、温度ムラが減り、室内全体が有効活用できるようになるため、不便は感じないはずだ。

◆一戸建ての夏対策は、屋根を断熱すること

 逆に、周囲6面がすべて外と接している戸建住宅では、マンションのように簡単ではない。窓にしても家全体では面積が大きく、すべてに内窓を付けるとそれなりの費用が必要となる。それでも夏対策として、南面、西面の窓を優先して内窓を設置することをお勧めしたい。

 さらに直射日光の侵入を防ぐため、窓の外側にオーニングやシェードなどを設置するのが効果的だ。また、スイッチひとつで開閉させられる電動オーニングは、設置コストは高いが利便性は高い。

 一戸建ての夏対策としては、次に優先したいのは壁よりも天井の断熱だ。天井面には強烈な直射日光の日差しが容赦なく照りつけ、断熱が弱いとロフトはもちろん、2階全体がうだるように暑くなる。

 最もお勧めしたいのが、天井の内側に断熱材を厚めに敷き詰めることだ。きちんと施工されれば夏でも天井付近の部屋が有効活用できる。また冬も天井から抜ける暖かい空気が減り、寒くなりにくい。

◆遮熱塗料はあくまでも簡易対策

 よく話題になる遮熱塗料はどうだろう?遮熱塗料とは、屋根に塗る反射効果のある塗料のことで、直射日光の熱を和らげる効果がある。一般的には、屋根が暗い色の場合は明るい遮熱塗料を塗ることで、それなりの効果があるとされる。

 ただ、効果のほどは色や塗料の種類などによってさまざまで、塗ったあと「思ったほどの効果が出ない」とクレームが出ることもある。また、当初は効果があったとしても、塗料が汚れたり古くなったりすると効果が落ちてくる。さらに通常は塗料の厚みが1ミリ程度と薄いため、冬の断熱効果はない。

 千葉県浦安市を拠点に数多くの断熱リフォームを手がけてきた今泉太爾氏(株式会社アールデザイン)は、このように評価する。

「遮熱塗料は本来、屋根断熱の無い工場などでの夏の暑さ低減を狙った簡易対策であり、断熱材の入っている住宅で使うものではありません。夏の暑さにも、冬の寒さにも、屋根の中に断熱材を追加する方が、圧倒的に効果が得られます」

◆選んではいけない! 悪質リフォーム業者の見分け方

 最後に、工事をする場合どのような業者に依頼するのが良いのだろうか。住宅のリフォーム業者にお願いしてトラブルになったという声もよく聞くだけに、慎重に選びたいものだ。通常、業者の選択は複数の業者に見積もりをとった上で、コストと内容面で比較する。しかし、今泉氏は、それ以前に注目して欲しいポイントが3つあると指摘する。

 ひとつ目は「建設業許可の免許を持っていないリフォーム業者は排除すべき」というものだ。一般的にはあまり知られていないが、リフォーム業者には資格が不要で、「今日からリフォーム屋になる」と言えば素人でも勝手に名乗れてしまう。そしてそれなりのホームページを作れば、建築の知識がなくても仕事が舞い込む。

 悪質なリフォーム業者がトラブルを繰り返している背景には、このような事情があるという。「リフォームも建設事業の一貫です。少なくとも最低限の資格として建設業許可を持っていない会社には、安心して任せることができないと考えてください」(今泉氏)

 2つ目のポイントは、リフォーム経験だ。建築業の許可さえ持っていればよいかというとそんなことはない。リフォームは一軒一軒、オーダーメイドで必要とされることが全く違う。そのような応用力が求められる現場では、経験が物を言うこともある。

「特に、普段は新築しか建てていない工務店や、せいぜい自社が建てたお客さんの家の修理くらいしかしていない工務店では、その対応力に不安が残ります」(今泉氏)

◆リフォーム現場を見せてくれない業者に注意

 最後の3つ目は、実際のリフォーム現場の見学だ。

「過去の事例や、いま手がけている仕上がり中の案件を見せてもらうのが良いと思います。施工中でも、完成しているものでも構いません。所有者の許可があれば見せてもらえるので、見せてもらえないということは、何か事情があるはずです。

『いまはやっていないので』などと言われたら、『ではいつ見せてもらえますか?』と聞いてください。何か月も見学できる現場がない業者は、ほとんどリフォーム実績がない、または施工品質に問題があり、OBとトラブルが多いなどなど、リフォーム施工能力に問題がある可能性が考えられます」(今泉氏)

 今泉氏が断熱リフォームを手がけ始めたのは、10年以上前の2008年頃から。当時は断熱の重要性を認識しているリフォーム会社は、ほとんどなかったという。現在は徐々に増えてきているというが、まだまだ少数しかいない。そんな中でも上記のポイントに合わせて適切な事業者を選び、断熱リフォームをすることで、1年を快適に過ごしてもらいたい。

◆ガマンしない省エネ 第13回

<文/高橋真樹>

ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)ほか多数。

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