「引き寄せの法則」って本当? 分析すると心理テクニックの集合体だった

「引き寄せの法則」って本当? 分析すると心理テクニックの集合体だった

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 あなたは「引き寄せの法則」という言葉を聞いたことがありますか? これは「人間は考えたことを実際に引き寄せる」とされる法則であり、これを応用すれば、「何でも思ったことを実現させることができる」とされています。

◆「引き寄せの法則」とは

 けれども、そんなうまい話があるのでしょうか? そもそも、「引き寄せの法則」とは何でしょうか? 科学的根拠はあるのでしょうか? 本日はこの「引き寄せの法則」について見ていきたいと思います。

「引き寄せの法則」ブームの火つけ役になった、『ザ・シークレット』(ロンダ・バーン)によれば、ほしいものを「引き寄せる」には以下のステップで行なうのがいいとされています。

@お願いする

・ほしいものを明確にする

・ほしいものを「現在形」で紙に書き出す

A信じる

・手に入ったところを思い描く

・既にそれが手に入ったと信じる

・それが手に入ったように振る舞う

B受け取る

・「私は今、○○を受け取っています」と言う

・それを受け取った時の幸福感や素晴らしさを実感する

・その気分を感じ、いい気分でいる

◆「引き寄せ」手法の共通点

 実は、ご存知の方も多いと思いますが、自己啓発書には上記に類似した、願望を実現するためのさまざまな方法論が提唱されています。たとえば、「アファメーション」「インカンテーション」「ビジュアライゼーション」「ビジョンボード」「メンタルコントラスト」など、それぞれの手法に若干の相違点はありますが、それ以上に共通点の方が多く存在します。

 私は、古今東西のこうした手法をひとつひとつ調査して、その共通点を分析してみました。すると、各手法は、以下のようなひとつのモデルにまとめることができることがわかりました。

1.叶えたい願望の内容を文章や画像で表現する

【文章の場合】

・現在形で、既に叶ったかのように書く

・一人称で主語を入れる

・否定文は使わず、肯定文だけで表現する

【画像の場合】

・理想を表した絵や写真を貼る

・自分の写真を絵や写真の中に入れる

2.願望の内容を音読し、叶ったところをイメージする

3.願望が既に叶ったと信じ、叶ったときの喜びを実感する

4.上記の2〜3を毎日、特に起床直後と就寝直前に行なう

◆「引き寄せの法則」に科学的根拠はあるのか?

 では、こうした引き寄せ手法に科学的根拠はあるのでしょうか? この点を考察してみたいと思います。

【カラーバス効果】

 人間は、あるひとつのことを意識することで、それに関する情報が無意識に自分の手元にたくさん集まるようになる傾向があります。これを「カラーバス効果」と言います。

 たとえば、「赤」を意識すると赤色の物ばかりが目につき、「青」を意識すると青色の物ばかり目につくうようになるのは体験されたことがある人も多いのではないでしょうか。

 つまり、毎日ある願望を音読し、それを意識していると、自然とそれに関する情報が集まり、チャンスも広がっていく、ということはありそうです。

【プライミング効果】

 また、人間は与えられた情報によって行動が影響される傾向があります。これを「プライミング効果」と言います。

 たとえば記述問題を解かせる実験で、「上品な言葉」が並ぶテストを受けた学生と、「暴力的な言葉」が並ぶテストを受けた学生とで、テスト後の行動を比べると、「上品な言葉」の学生はおとなしい行動をとったのに対して、「暴力的な言葉」の学生は粗暴な行動をとったという結果が報告されています。

 つまり、毎日一定の言葉や画像に接触していると、無意識にそれに近い行動をとる可能性が高くなり、願望達成の可能性を押し上げるということがありそうです。

【イメージトレーニング理論】

 人間はある行動をイメージをしていると、実際にうまくいきやすくなるとされています。

 たとえばバスケットボールのフリースローの実験で、「@毎日練習するグループ」と「Aほぼ練習しないグループ」「B毎日イメージトレーニングをするグループ」とに分けて、20日後にテストしたところ、「Aほぼ練習しないグループ」の成功率はほぼ変わらなかったものの、「@毎日練習するグループ」の成功率は24%上がり、更に「B毎日イメージトレーニングをするグループ」の成功率も23%上がったという結果が報告されています。

 つまり、ある行動をイメージしていると、いざそのチャンスが来たときに成果を挙げやすくなるという可能性はありそうです。

【プラシボ効果】

 人間はそれが出来ると信じていると、本当に成功する可能性が高くなるとされています。いわゆる「プラシボ(偽薬)効果」の類の話です。

 たとえばパターゴルフを用いた実験では、被験者に対して「これは幸運のボールです」と言って、本当は(幸運でもなんでもない)普通のボールを渡して打ってもらうと、何とも言わなかった被験者に比べてパットの成功率が飛躍的に上がったとされています。

 つまり、ある願望が叶うと信じていると、その実際にその願望が叶いやすくなるという可能性はありそうです。

◆「引き寄せの法則」の効果とその信憑性

 上記はあくまで傍証の域を出ませんが、少なくとも毎日、願望の内容を音読し、叶ったところをイメージしていたら、その願望を実現する可能性がかなり高まることは蓋然性が高いと考えられます。

 ただし、ここが重要なところですが、上記の行動をしていれば「必ず願望が叶う」というわけではありません。上記で示されたことはあくまでその「可能性が高まる」ということであり、「確率性」の問題を「必然性」の問題とごちゃごちゃにするとおかしなことになるので、注意が必要です。

 同じように、「引き寄せの法則」を扱っているスピリチュアル本は、その多くが、その願望が叶う理由として「宇宙があなたの声を聴いてくれて、叶えてくれる」というような文脈で説明をしていますが、これもあまりに非科学的な暴論と言わざるを得ません。

 前述したように、「引き寄せの法則」はスピリチュアルでも何でもなく、自分の意識を変え、行動を変え、願望実現の可能性を高めるためのさまざまな心理テクニックの複合体に過ぎません。そしてこの限りにおいて、私はかなり信憑性も高く期待効果も高い、きわめて優れた方法論だと思いますので、皆さんももっと気軽に利用してみてはいかがかと思います。

【高田晋一】

(株)成功データ研究所 代表取締役。作家。データアナリスト。早稲田大学第一文学部哲学科卒業、英国国立ウェールズ大学経営大学院Postgraduate Diploma取得。電通グループ各社で10年以上にわたり、リサーチ・ディレクターとして市場調査やデータ分析を担当。

成功哲学に関する研究をライフワークとし、これまでに1000冊以上の文献やデータを調査・分析して、独自の成功理論を確立。その後独立して「(株)成功データ研究所」を設立し、これまでの研究結果を書籍やセミナー、雑誌やWEBの記事などを通じて発表している。

著書に、『「人生成功」の統計学 自己啓発の名著50冊に共通する8つの成功法則』(ぱる出版)、『自己啓発の名著から学ぶ 世界一カンタンな人生の変え方』(サンクチュアリ出版)、『大富豪の伝記で見つけた 1億稼ぐ50の教え』(サンクチュアリ出版)、『成功法則大全』(WAVE出版)『やってみてわかった 成功法則 完全実践ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など

HP:「成功データ研究所」 メルマガ:「今日の成功データ」

Facebook:高田晋一 Twitter:@shinichi_exp

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