Wordを捨て、テキストファイルで書こう!? IT業界の人が利用する「マークダウン」という不思議な形式

Wordを捨て、テキストファイルで書こう!? IT業界の人が利用する「マークダウン」という不思議な形式

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◆Wordに疲弊し、テキストファイルに癒やされる

 「マークダウン」(Markdown)という言葉を聞いたことがあるだろうか。Web系を中心としたプログラマならよく馴染んでいる言葉だ。

 マークダウンはテキストファイルの書き方のひとつだ。特別なファイル形式ではない。見出しや強調したい部分、リンクや画像の挿入について一定のルールで書く。それ以外は、普通のテキストファイルと変わらない。

 そうして書いたテキストの文書を、特定のWebサイトに投稿すると、見栄えよくHTMLに変換してくれる。手元でHTMLファイルに変換したければ、マークダウンエディタと呼ばれる種類のテキストエディタを使えばよい。エディタの一機能として、マークダウン変換機能が付いていることもある。

 文書の整形に「Word」を立ち上げる必要はない。「Word」の不可思議な挙動に悩まされることもない。使い慣れたテキストエディタで、サクッと書けばよい。シンプルなテキストで、小さなファイルサイズで保存できる。パソコンでもスマホでも簡単に書くことができる。

 マークダウン形式で書き、HTMLに出力してPDFに変換すれば、それだけで見栄えのよいドキュメントを作成できる。覚えておいて損はない。今回は、そうした「マークダウン」について話をする。

◆マークダウンの簡単な書き方

 それでは、マークダウンの簡単な書き方を示そう。

 見出しを書きたい場合は、行頭に「#」を置く。変換プログラムにもよるが、「#」のあとに半角スペースを入れてから見出しを書くとよい。こんな感じだ。

 見出し以外の本文は、改行1つは無視される。改行が2つ以上ある場合に、はじめて改行として認識される。

 これは、マークダウンという形式が、元々英文メールの書き方の慣習から来ているからだ。パソコンのメールでは、途中で改行を入れて文章を書くことが多い。しかしそれらは本来、必要な改行ではない。マークダウンでは、そうした改行を無視するようになっている。

 また、見出しには階層をもうけることができる。「#」が1つなら1階層目、「#」が2つなら2階層目、3つなら3階層目となる。

 こうした見出し構造は、そのままアウトラインプロセッサの目次のような役目を果たす。アウトラインプロセッサは、文書を階層構造(主にツリー状のUI)で示して、細部を書き込んでいくソフトウェアだ。アウトラインプロセッサの中には、マークダウンに対応しているものもある。

 次は、リンクや画像の埋め込みだ。角括弧と丸括弧を用いる。

 階層付きリストや順序付きリストも表示できる。これは、記号や数字を以下のように並べると、自動で整形してくれる。

 他にも強調表示や表組、引用、水平線などのルールがあるが、それほど難しくはない(Wikipedia)。

◆軽量マークアップ言語の世界とマークダウン

 マークダウンは「軽量マークアップ言語」と呼ばれる種類のものだ。「マークアップ言語」では、文書に見た目や構造の指示を加える。軽量でないマークアップ言語には「HTML」や「XML」がある。マークダウンは、HTMLやXMLほど難しくない、簡易なものだ。

 Webの世界では、このマークダウンがよく使われる。ブログなどでは、入力形式としてマークダウンに対応しているものが多い。セキュリティ的な観点から、直接HTMLの入力を禁止している場合、軽量マークアップで入力させると都合がよいからだ。

 また、プログラマーは「Word」などのリッチなファイルではない、テキストファイルを好む。そのためプログラマーのドキュメントは、マークダウン形式で書かれることが多い。その際、慣習的に拡張子は「.md」を用いる。しかし、中身は単なるテキストファイルなので、拡張子にこだわる必要はない。

 プログラマーが多く利用している「GitHub」では、GFM(GitHub Flavored Markdown)という、マークダウンを採用している。

 近年登場したコードエディタでは、「Atom」や「Visual Studio Code」のように、標準機能としてマークダウンプレビュー機能を備えているものが多い。

 軽量マークアップ言語として有名なものには、他に「ウィキテキスト」がある。「Wikipedia」(Wikiによる百科事典)などで記事を書く際に用いる形式だ(Wikipedia)。

 少しマイナーなものになるが「BBコード」というものもある。こちらは電子掲示板やブログなどで使用される。私が目撃したケースとしては、ゲーム配信プラットフォームの「Steam」で文章を入力する際に用いられていた(Wikipedia)。

◆マークダウンエディタの利用、PDFへの変換

 マークダウン機能を持つエディタ「Atom」には、表示したHTMLを保存する機能がある。この機能を使って保存したHTMLファイルを「Google Chrome」で開く。そして「Ctrl+P」で印刷ダイアログを開けばPDFとして保存できる。

 この機能を利用すれば、テキストで書いた文書を、見栄えよくHTML表示して、PDFとして保存できる。ビジネスでやり取りする簡単な文書を作成する際に便利だ。

 マークダウンは、覚えやすくて使いやすいので、もっと広がってくれればと思っている。

◆シリーズ連載:ゲーム開発者が見たギークニュース

<文/柳井政和>

やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。

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