フロッピーディスクは今?「面倒を見る人」がいなくなった現状

フロッピーディスクドライブは過去の遺物に 機械によっては数十年現役の可能性も

記事まとめ

  • フロッピードライブは過去の遺物となったが、仮想ドライブについては需要があるよう
  • 14年には「米大陸間弾道ミサイルのシステムではフロッピーが使われている」との話題も
  • 「機械によっては数十年現役の可能性がある」と記事では指摘している

フロッピーディスクは今?「面倒を見る人」がいなくなった現状

フロッピーディスクは今?「面倒を見る人」がいなくなった現状

PublicDomainPictures via Pixabay

フロッピーディスクドライバーの面倒を見る人がいなくなった

 7月の末に「Linuxでフロッピーディスクドライバーの面倒を見る人がいなくなった」という趣旨のニュース(ZD Net)が流れてきた。フロッピーディスクドライブは、過去の遺物になっている。Linuxでフロッピーディスクドライバーの開発を担当していた人は、ハードウェアをもう所有していなかったそうだ。

 ただ、仮想フロッピーディスクドライブについては現在も需要があるようだ。そして、仮想デバイスならではの問題も発生している。実際のハードウェアから切り離されて高速に動作するようになったことで、現実のフロッピーディスクでは発生しなかった競合が起き、メンテナンスが必要だったそうだ。

 そういえば、今年の3月に話題になったWindows 95の最速インストールを競うタイムアタックでは、オリジナルのフロッピーディスクやCD-ROMのイメージを使ってインストールするという話があった。古いソフトウェア資産を利用する際に、こうした機能が必要になるのだろう。

 フロッピーディスクについては、ユーザーインターフェース方面の話題もある。「データの保存を意味するアイコンがフロッピーディスクなのはどうなのか」という話題は定期的にネットで登場する。「保存 フロッピーディスク」という単語でGoogle検索すると、多くの記事があるのが分かる。

 フロッピーディスクは過去の遺物ではあるが、人類の記憶から完全に抹消されたわけではない。

「それにしてもフロッピーディスクか、懐かしい……」

 そう思うと同時に、フロッピーディスク界隈は今どうなっているのだろうと疑問に思った。そこで少し調べてみることにした。

◆フロッピーディスクが現役だった時代

 そもそもフロッピーディスクが何なのか知らない人もいると思う。20年以上前には、データを保存して持ち出すと言えばフロッピーディスクだった。パソコンにはフロッピーディスクドライブが付いていた。しかし、そうしたパソコンはどんどんなくなり、現在ではフロッピーディスクドライブが付いているパソコンは皆無だ。

 フロッピーディスクは記憶媒体のひとつだ。プラスチック製の円盤に磁性体を塗布し、プラスチック製のケースに収めたものだ。8インチ、5.25インチ、3.5インチなどのサイズがあり、少しずつ形状が違う。

 私が主に使用していたのは3.5インチのものだった。研究室にはもっと大型のものもあったが、Windows 搭載機で使っていたのは3.5インチだった。Windows 95 以降にパソコンに触れた人がイメージするフロッピーディスクは、この3.5インチのものになるだろう(参照:コトバンク)。

 8インチ(容量128kB)のフロッピーディスクが登場したのは1971年、5.25インチ(容量80kB)は1976年。3.5インチ(当初は360kB、のちの最も普及した規格は1.44MB)のフロッピーディスクは、ソニーが1980年に開発した(参照:パソコン用記憶装置(HDD、FDDなど)の歴史、ITエンジニアの人生:オルタナティブ・ブログ)。

 1.44MBというと、スマホで撮影した写真1枚よりも容量が少ない。しかし、テキストファイルを保存する分には、それほど困ることもなかった。

 OSやソフトウェアのインストールにもフロッピーディスクは利用されていた。Windows 95 には、CD-ROM版とフロッピーディスク版(10枚や20枚、入れ替えないといけない)が存在した。

 ちなみに、現在の Windows パソコンにも、フロッピーディスク時代の名残がある。Windows のシステムドライブがCなのは、昔、Aドライブ、Bドライブが、フロッピーディスクドライブだったためだ(参照:ねとらぼ)。

◆フロッピーディスクの終焉と亡霊

 フロッピーディスクは、非常に広く普及していた。しかし、そうしたフロッピーディスクも、コンピューターの記憶媒体の大容量化に伴い、歴史的な役割を終えた。

 2009年3月末に、三菱化学メディアは3.5インチのフロッピーディスクの販売を終了した(参照:三菱化学メディア株式会社)。そして、2011年3月末にはソニーも販売を終了した(参照:ソニー)。

 パソコンにフロッピーディスクドライブが搭載されることもなくなり、読み書きが必要ならUSB接続する装置を利用しなければならない。筆者も、1台だけUSB接続のフロッピーディスクドライブを捨てずに残している。手持ちのフロッピーディスクからはデータを吸い出しているが、他人から渡されることを考えてのことだ。

 生産が終わり、読み書きも特殊な装置が必要になっている。こうした状況になると、フロッピーディスクは世の中から消えたテクノロジーのように思えるだろう。しかし、古くからのシステムを維持しているところでは、亡霊のように生き残っている。

 たとえば2014年には「米大陸間弾道ミサイルのシステムでは8インチフロッピーが現役で使われている」という話題があった。2015年には「米政府のCTOはホワイトハウスからフロッピーディスクを無くせるか」、2016年には「米政府機関、古いITシステムの運用と維持に予算の75%を費やす。8インチフロッピーディスクは来年退役の計画」という話が流れてきた。

 ごく最近まで、IT大国のアメリカの中枢でさえこうした状況だ。機械によっては数十年現役の可能性がある。まだしばらくは、フロッピーディスクは世界の各所で使われ続けるのだろう。

【柳井政和】

やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。

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