Android、新バージョンから「デザート名」廃止。過去のデザート名、おぼえていますか?

Android、新バージョンから「デザート名」廃止。過去のデザート名、おぼえていますか?

Pasi M?mmel? via Pixabay

◆Android新バージョンからデザート名が廃止

 8月22日に、次バージョンの Android について Google から発表があった。内容はいくつかある。Android ではこれまで、バージョンの数字とともにアルファベット順のコード名を使用してきた。そして、そのアルファベットを冠するデザート名(カップケーキ、ドーナツなど)も用意していた。しかし、「Q」となる今回は、その慣例を改めて Android 10 にするそうだ。

 「Q」はアルファベットの17文字目である。17番目なのに Android「10」であることに疑問を持つ人もいるだろう。これは、4.1や4.4といった小数点付きのバージョンにもコード名が与えられていたためだ。そのため17文字目だが、バージョンは10ということになる。

 Android も、1.0がリリースされた2008年9月から10年以上経っている(参照:CNET Japan)。アクティブなデバイス数も25億台に達している。そうしたことからブランドについて、よりシンプルに変更しようという流れなのだろう。そうした変更は、コード名とともに発表されたロゴやその色の変更からも察せられる。Android は特別なものではなく、より当たり前のものとして、人々の生活の中に浸透していくのだろう。

◆過去の Android のバージョンとコードネーム

 さて、アルファベットのコード名と、その文字を冠したデザート名が廃止されるわけだが、過去にどのようなものがあったのか振り返ってみよう。

 2008年9月の1.0、そして2009年2月の1.1の頃は、コード名がなかった。この頃のことはよく覚えている。私が初めて Android を触ったのは、1.0を搭載した T-Mobile の端末だった。まだ日本でAndroidの端末は出ていなかったが、ゲームを作って公開して遊んでいた。

 2009年4月、次の1.5の時に初めてコード名が登場した。その時のデザート名は「Cupcake」(カップケーキ)だった。日本で初めて登場した NTTドコモの HT-03A は、この1.5が搭載されていた。事実上の日本デビューの時に「Cupcake」というデザート名が登場した。この頃私は、Android 向けアプリの開発経験者ということで、技術書を執筆したりしていた。

 その後、デザート名は続々と続いていく。1.6は「Donut」(ドーナツ)、2.0 - 2.1は「Eclair」(エクレア)、2.2 ? 2.2.3は「Froyo」(フローズンヨーグルトの通称)となった。

 デザート名の話題が多く出るようになったのは「Donut」の頃からだと記憶している。どうやら今後もアルファベット順にデザート名が付くらしいと分かったからだ。そして、新バージョンが出る度に、どのデザートになるのか予想するようになった。

 以降、「G」から「P」までは表形式で掲載しておく(参照:Androidのバージョン履歴 - Wikipedia)。

* 2.3 ? 2.3.7 …… Gingerbread(ジンジャーブレッド)

* 3.0 - 3.2.6 …… Honeycomb(ハニカム)

* 4.0 ? 4.0.4 …… Ice Cream Sandwich(アイスクリームサンドイッチ)

* 4.1 ? 4.3.1 …… Jelly Bean(ジェリービーン)

* 4.4 ? 4.4.4 …… KitKat(キットカット)

* 5.0 ? 5.1.1 …… Lollipop(ロリポップ)

* 6.0 ? 6.0.1 …… Marshmallow(マシュマロ)

* 7.0 - 7.1.1 …… Nougat(ヌガー)

* 8.0 - 8.1 …… Oreo(オレオ)

* 9.0 …… Pie(パイ)

 こうして並べてみると、そろそろデザート名は潮時だったのかもしれない。「Q」は明らかに候補が少ないだろう。そして「V W X Y Z」と、デザート名として難しそうな文字が控えている。そして「Z」を越えた時点で、その次はどうするのかという問題が発生する。そうした意味で、止め時を探していたのかもしれない。

 開発陣も10年以上経てば大きく変わっているだろう。創業気質のメンバーから、保守管理が得意なメンバーに変わっている可能性もある。チームのノリも大きく違うだろう。過去の慣例が馴染まないものになっていれば改めるべきだろう。

◆Android 進化の歴史

 さて、Android のデザート名を見て来たが、デザート名が変わるタイミングには、メジャーバージョンアップなど大きな変化がある。そこでそれらをたどりながら、Android の進化の歴史を見ていこう。

◆2.0 - 2.1 Eclair(エクレア)

 Android の最初のメジャーバージョンアップ。内蔵フラッシュのサポートやデジタルズームなど、カメラアプリの機能が大幅に強化された。スマートフォンのカメラ機能が、今では必須のものだということを考えれば順当な進化だろう。このあともカメラの機能は延々と改良され続ける。

 また Eclair では、複数の解画面像度がサポートされ、Bluetooth 2.1 のサポートなどがおこなわれた(参照:INTERNET Watch Watch、Android 2.0 Official Video - YouTube)。

 今から考えると、バージョン1の頃には、そうした機能がなかったのだと驚かされる。Android もスタート時点は、かなりこじんまりとしたOSだったことが分かる。

 続くマイナーバージョンアップの2.2「Froyo」、2.3「Gingerbread」では、性能の強化が多くおこなわれている。2.0「Froyo」では、Java や JavaScript の高速化、そしてテザリング対応、2.3「Gingerbread」では、ゲームのための反応性向上がおこなわれた。

◆ 3.0 - 3.2.6 Honeycomb(ハニカム)

 メジャーバージョンアップということで、大きな変更がおこなわれた。目玉はタブレットへの対応。3.Xはタブレット専用のOSになった。そして大画面を想定したユーザーインターフェースに改良された。

 個人的には、スマートフォンとタブレットでOSが分岐するということで、かなり戸惑ったことを覚えている。

◆4.0 ? 4.0.4 Ice Cream Sandwich(アイスクリームサンドイッチ)

 3.0で分岐してしまったスマートフォン向けとタブレット向けのOSが、3系ベースで統合された。2つのOSがあると開発コストが倍だと思っていた開発者は、UIが統合されたことで胸をなで下ろしたかもしれない。4.Xの頃から、現在のAndroidに近いものになったという実感がある(参照:About)。

 また、4.4「KitKat」から「OK, Google」の呼びかけで、音声操作がおこなえるようになった。

◆5.0 ? 5.1.1 Lollipop(ロリポップ)

 このバージョン以降は、メジャーバージョンアップとコード名が一致するようになる。Lollipop の見た目の大きな違いは、マテリアルデザインと呼ばれるデザイン体系を採用したことだ。

 マテリアルデザインは、この時期に流行っていたフラットデザインの反省に立っていると感じた。アニメーションや影などを採用することで、直感的に分かりやすいデザイン体系となっている。

 また、大きな変更点としては64bitへの対応だ。今後出てくる端末の機能を最大限発揮するためだ。地味だが重要な変更点は、WebViewの更新がOSから分離したことだ。セキュリティ上の問題が発生した際に、Webの表示機能のみバージョンアップすることが可能になった(参照:すまほん!!)。

◆ 6.0 ? 6.0.1 Marshmallow(マシュマロ)

 メジャーバージョンアップなので、多くの変更が入っている。個人的に一番大きいのは、アプリのアクセス権を管理する機能だと考えている。これまでインストール時に一括で許可していたアクセス権を、きめ細やかに設定できるようになった。また指紋認証にも対応した(参照:Android ? Android 6.0 Marshmallow)。

◆7.0 - 7.1.1 Nougat(ヌガー)

 大きな変更点はマルチウィンドウがサポートされたことだ。他にはテキストやアイコンなどのサイズのカスタマイズが、OS側で一括でできるようになった(参照:Android ? Nougat、価格.comマガジン)。

◆8.0 - 8.1 Oreo(オレオ)

 小窓で動画を再生するピクチャー・イン・ピクチャーの機能がスマートフォンでも利用可能になった(参照:携帯総合研究所)。さすがにこの頃になると、大きな変更はなく、使い勝手や性能といった、小粒な変更が中心になってくる。

◆9.0 Pie(パイ)

 画面下部でシステム操作をおこなう領域に変更がおこなわれ、新しいナビゲーションバーとなった。ただ、端末メーカーが採用していないケースも多いために、変更を体験している人とそうでない人がいる(参照:ITmedia Mobile)。その他にマルチカメラのサポート、屋内での位置を正確に特定する機能などが追加されている(参照:携帯総合研究所)。

◆大きな節目を迎えたAndroid

 今回、Android の各バージョンの紹介記事や、本家の宣伝ページを読み直していて気付いたのは、多くのバージョンでバッテリーの改善をうたっていたことだ。スマートフォンは主に外出時に使う。そのためバッテリーの持ちが、そのまま価値に直結する。

 徐々に高度化していく機能を盛り込みながら、電池を消費しないように改良し続けるのは骨が折れるだろう。こうしたたゆまぬ努力が、新しい機能を追加する余地を作っている。

 Android 10 は、大きな節目のバージョンとなる。Android 10 で、さらにスマートフォンが使いやすくなることを期待している。

【柳井政和】

やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。

関連記事(外部サイト)