「ゼロコロナ」か「ウィズコロナ」か、割れる中国世論―米華字メディア

「ゼロコロナ」か「ウィズコロナ」か、割れる中国世論―米華字メディア

12日、米華字メディア・多維新聞は、中国社会で「ゼロコロナ派」と「ウィズコロナ派」の議論が激しくなりつつあるとする記事を掲載した。

2022年4月12日、米華字メディア・多維新聞は、中国社会で「ゼロコロナ派」と「ウィズコロナ派」の議論が激しくなりつつあるとする記事を掲載した。以下はその概要。

中国のネット上で人気の感染症専門家、張文宏(ジャン・ウエンホン)氏が昨年9月「世界の大多数のウイルス専門家はみなこのウイルスが常駐型ウイルスであると認識している。世界はこのウイルスと共存することを学ばなければならない」とネット上に投稿したことで激しい攻撃を受け、自身が20年前に書いた論文さえやり玉に挙げられる事態となった。

この出来事は、当時の中国世論に感染対策をめぐる意見の相違、対立があったことを示すものだが、この相違、対立は今年3月以降の中国における感染リバウンド、特に上海の深刻な状況により新たなピークを迎えている。

そんな中、中国政府が4月11日に「ゼロコロナが揺らぐことはない」との文章を発表するなど、中国政府系、共産党系メディアはこの1週間で相次いでゼロコロナ政策の堅持を強調する文章を出した。また、中国の医学界で大きな権威性を持つ鍾南山(ジョン・ナンシャン)氏も8日に「完全な開放はふさわしくない」と発言した。こういった文章や発言は、中国政府が定めた防疫路線の正当性をアピールし、激しさを増す世論の論争を抑えることを狙ったものだ。

しかし、中国社会にはコロナに対する認識に新たな変化が生まれているのだ。感染予防の経験、数十万人の感染経験を経て得た認知によって、中国政府のやり方にある程度の疑問を持ち始めているのである。これまで中国社会が政府の方針に対し自然と従い、黙って履行してきたことを考えれば、世論でゼロコロナか、ウィズコロナかの熱い議論が繰り広げられていることは、たしかに注目値すべき現象だろう。

特に、今回の上海の感染拡大では、感染者15万人に対して重症例はわずか1人となっていることに人びとは気付いた。それなのに当局は厳しい防疫措置をとり、一部病院の救急診療がストップしたことでコロナ以外の病気で助かるはずの命が助からなかったケースが出ている。また、感染対策として封印テープが貼られたトラックの荷台から死亡したドライバーが見つかるトラブルもあった。そして多くの市民が家に閉じ込められ、生活物資の供給が不足している中で中国一のGDPを誇る上海市民が飢餓の問題にさらされている。中国社会では「われわれの感染対策はやりすぎじゃないのか」「まだゼロコロナを続ける必要があるのか」という声が多く聞かれるようになった。

この状況において、中国政府は市民の疑念を解消するにしろ、人々の心をまとめるにしろ、何らかのレスポンスを行わなければならない。中国は今、感染対策の路線について自らを省みる時期に差し掛かったのだ。市民が感じている生きることへの圧力はリアルなものであり、政府は科学的な観点から分かりやすいようにゼロコロナの必要性について説明するとともに、市民の困難を和らげる措置を速やかに講じ、感染対策の各セクションを改善することにより、市民同士の対立激化、新たな分裂を防がなければならないのである。(翻訳・編集/川尻)

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