通信の「持続可能な発展」に不可欠な6GHz帯配分、「混雑問題」には技術で対応

通信の「持続可能な発展」に不可欠な6GHz帯配分、「混雑問題」には技術で対応

高度にデジタル化された社会の実現のために欠かせない作業が、電波の合理的利用だ。今、特に注目を集めているのが6GHz帯の配分の問題だ。

世界の移動体通信は5Gの普及、さらには6Gの開発と普及へと移行しつつある。そして、いかなる国であっても、高度なデジタル化を実現せねば他国との経済競争で大いに不利になり後れを取ることになる。また、高度なデジタル化は産業や生活を効率化するため、省資源や炭素排出の削減にも直結する。つまり全人類に共通する利益にも合致する。しかしここに、大きな課題がある。使える電波の周波数帯に制約があることだ。この電波の周波数の割り当てで、今、特に注目されているのが6GHz帯の配分という。

■開発途上国ほど「電波に頼る」状況になる

世界では、これまで開発が遅れていた国ほど、移動体通信への依存度が高い状況がある。カンボジア政府で電気通信の管理に携わるチェンダ・トン氏によると、同国におけるユーザー1人当たりの1カ月の通信量は約33GBという。この通信量は、アジア太平洋地域で最も高いレベルだ。

一方で、カンボジアにおける固定インターネットの普及率は、全世界で46カ国が認定されている後発開発国の中で12位だ。また、固定ブロードバンドのビジネス規模はインターネット通信ビジネスの1%しか占めていないという。

カンボジアの通信事情は開発途上国における典型的な状況だ。ほとんどの通信を固定ブロードバンドではなく、移動体通信を利用することで実現する。そのため、開発途上国にとっては十分な周波数帯域の配分を獲得することが、長期的な経済及び社会の発展にとって極めて重要だ。

■先進国では電波利用の「高度化」がさらに進行

一方の先進国でも、移動体通信は極めて盛んであり、新たな技術の導入やビジネスモデルの構築も旺盛だ。3G、4G、4.5G、5Gと通信方式は進化し、それぞれのサービスで差別化が行われている。優れた通信方式に対する消費者の需要も高まってきた。フィンランド政府の電波管理部門によると、18年上半期には2%だった通信速度300Mbps以上のプランに対応するSIMの割合は、21年下半期には17%にまで増加した。

■先見性ある周波数帯の割り当てが必要

これらの状況により、開発途上国、先進国を問わず、政府関連部門が周波数帯の割り当てを行う際には、各種の無線通信に十分な枠を保証するという、先見性のある作業が必要になる。これまで、移動体通信による通信量と電波の網羅率(カバレッジ)の最適なバランスは、3.5GHz帯や4.9GHz帯で実現するとされてきた。ただし5.5Gや6Gなど「より進化した通信」では、6GHz帯が最も重要になるとみられている。

下位6 GHz帯域と呼ばれる5925−6425 MHの周波数域は、多くの国で非ライセンス帯域として利用されている。一方、上位6 GHz帯域の6425−7125 MHzの通信機器への割り当ては23年の世界無線通信会議(WRC-23)で決定される。

通信事業者はその後、ライセンス供与された上位6 GHz帯域を利用して、増大する通信需要に対応することになる。

■「混みあう電波」で発生する問題には技術力で対応

上位6 GHz帯域を利用する5Gサービスにとって、固定サービス(FS)および固定衛星通信サービス(FSS)などの既存サービスとの共存が最も重要な課題だ。この場合、FSは主に地方や遠隔地の拠点を結ぶ通信に使われている。一方で、上位6 GHz帯域を用いる移動体通信は主に人口密集エリアで展開されることを考えれば、現状のままでもFS対策に問題は出ない。しかし、ごく一部では相互干渉の問題が発生すると考えられる。

FSSについては、衛星に向けてのアップリンクで電波干渉の問題が発生する可能性がある。この問題を軽減するのに有効な手段が、現在も性能向上のための努力が続いているマッシブ・マイモ(Massive MIMO)と呼ばれるアンテナだ。マッシブ・マイモとは、大量のアンテナ素子を一つのユニットに組み込んだアンテナだ。安定した高速通信を維持するなどの利点で注目されているが、より狭いビーム幅を実現できるので、FSS用電波との干渉防止にも有効という。(翻訳・編集/如月隼人)

※本記事はハイテク情報などを紹介するウェブサイトの「STRATEGY ANALYTICS」に5月17日付で掲載された記事「6 GHz Band Key for the Sustainable Growth of the Wireless Industry」(著者・Guang Yang)の内容に基づき、再構成したものです。

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