<米バイデン大統領のアジア訪問>本来の優先課題「対中対抗」には多くの難題―米外交関係筋

<米バイデン大統領のアジア訪問>本来の優先課題「対中対抗」には多くの難題―米外交関係筋

米外交関係筋は、米バイデン大統領のアジア訪問について「中国に対抗するという優先課題に取り組むことが目的」と指摘。その上で、米国のプレゼンス向上には「多くの難題が山積している」との認識を示した。

米外交関係筋は、米バイデン大統領のアジア訪問について、「この地域で勢力を拡大する中国に対抗するという、本来の優先的課題に対して取り組むことになる」と指摘。その上で、米国が本当にこの地域に戻りプレゼンスを高めるためには、「多くの難題が山積している」との認識を示した。

同筋の発言要旨は次の通り。

米バイデン政権は、当初からインド太平洋地域を最重要に位置付け、同地域において勢力を拡大する中国に対抗することを外交の優先課題としてきた。

この数カ月、ロシアのウクライナ侵攻に対して、同盟諸国と協力していかに対処するかに追われてきたが、今回のアジア訪問は、本来の優先的課題に対して取り組むきっかけになる。ただ米国が本当にこの地域に戻って来るためには、多くの課題が山積しているかを再認識することになろう。

バイデン政権のアジア戦略は、次のような課題に直面にしている。

(1)ウクライナ危機によって、米国がインド太平洋地域に重点的に取り組むことが、当面、難しくなっている。

(2)先週、ワシントンで、米国が主催した米−東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、ASEAN側からは「誇大宣伝のわりに実りのない」との批判が多かった。

(3)米議会で、「対中テクノロジー法案」(USICA)が末成立であるため、米国が将来いかにして、世界のテクノロジー分野で指導力を発揮しようとしているかを示すことができない。

(4)米中の経済相互依存は緊密なため、米国内の意見が割れており、バイデン政権として、中国に対する基本的戦略、経済安全保障政策を未だ示せていない。

(5)「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」については、スケールの大きい貿易上の目標を欠いていることから、多くの国から失望の声が聞かれる。

◆バイデン大統領の今回のアジア訪問の目的は、次の5点である。

(1)同盟関係の強化

日韓両国との同盟は、この地域における米国の最も重視するものであり、過去5年の文在寅政権の下の韓国と日本の間の相克関係の解決は米国にとって極めて重要な問題である。

韓国の新しいリーダーと日本の指導者は、両国の関係改善が緊急の課題であることを理解しており、米、日、韓3国は共同軍事演習を推進するとの発表をすることになろう。

(2)中国と対峙すること

バイデン政権にとって、中国は米国にとって最大の「戦略的競争相手」であり、その意味でも日、韓両国は台湾問題に関して、韓国新大統領の尹錫悦氏が岸田首相のように深い関心と懸念を有しているかどうかはわからない。中国は、早々と王岐山国家副主席を新大統領との面談のため韓国に派遣している。

(3)インド太平洋地域との経済関係の緊密化と半導体等の重要物資のサプライチェーン強化

(4)クアッド(米、日、インド、オーストラリア)の強化

クアッド 4カ国首脳会議(24日東京で開催予定)は参加国が共通目的で動くという点で進んでいるとは言えない。ウクライナ危機に関しては、インドがロシアを侵略者として扱うことに同意していない。

(5)新型コロナなど気候変動対策

 日韓両首脳との間で協力できる分野についての話合いを行う。特に、北朝鮮で新型コロナが深刻化する中で米、日、韓が北朝鮮に協力を申し出るチャンスとなれば、新しい対話へのきかっけになる可能性も考えられる。

◆その他の2国間協議事項

(1)韓国とは、北朝鮮に対する対応及び戦時における指揮権限を米国から韓国に移す問題について協議される。

(2)日本とは、ロシアからの石油輸入の縮小問題が話し合われる。サハリン1及び2のエネルギー権益を維持しようとしていることも協議対象となる。

(八牧浩行)           

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