ファーウェイは自動車分野にも注力、日本の展示会場でも確認できた「ぶれない方針」とは

ファーウェイは自動車分野にも注力、日本の展示会場でも確認できた「ぶれない方針」とは

神奈川県横浜市内のパシフィコ横浜で開催中の「人とくるまのテクノロジー展(会期・5月25−27日)には、ファーウェイ・ジャパンも出展した。写真はファーウェイ・ジャパンの展示ブース。

神奈川県横浜市内のパシフィコ横浜で開催中の「人とくるまのテクノロジー展(会期・5月25−27日)には、華為技術(ファーウェイ)の日本法人であるファーウェイ・ジャパンも出展している。展示および関係者の話により、同社の自動車関連事業に対する考え方や、今後についての見方がより鮮明になった。

■「提携先に技術を提供」の考え方に変更はなし

同社が出展に当たり打ち出したモットーは「デジタルをすべてのクルマに」だ。同社の理念は「デジタル技術ですべてを結びつける」であり、自動車関連事業についても自社が持ち続けてきた理念のそのままの延長線上に位置づけている。

同社関係者によると、自動車事業を手掛け始めた当初は、電気自動車(EV)を念頭に置いていた。現在でもEVを強く意識している構図に変化はなく、「動力領域のデジタル化をリードし、EVの開発を加速させる」ことを謳(うた)う「DriveONE」などが強調されている。「DriveONE」は、駆動力を生み出すePowertrain、車載充電システム、バッテリー管理システム、ワイヤレス充電システム、さらには車外の充電インフラなどで構成されるシステムだ。一連の機器の中には、世界で初めて実用化した技術が使われているものもある。

ただし、同社関係者によると、システムなどの多くは、EV以外でも活用できることが明らかになった。そのため現在は、EV以外の燃料電池車や、さらには従来型のエンジン車にでついても、要望があれば喜んで技術を提供するという。

なお、ファーウェイはこれまでに何度も、完成車を手掛ける考えはないと表明してきた。あくまでも自動車メーカーからの要望に応じて、技術を提供する姿勢だ。これまでに発表された文章などによると、ファーウェイには「総取り」を忌避する企業文化があるという。他社が「土俵」とする分野にまで進出したのでは不要な「対決モード」に陥ってしまい、企業としてかえって疲弊してしまう事態を回避するとの考えが定着しているという。

同社は例えば2021年秋までに炭鉱分野への進出を発表した。当時はまだ、ファーウェイと言えば「通信分野に特化した企業」、場合によってはさらに以前の「スマートフォンの世界的メーカー」のイメージもかなり強く残っており、「鉱業分野への進出」に驚きを示した記事も発表された。しかしファーウェイにしてみれば、自らが鉱山会社を設立する考えは毛頭なく、あくまでも、自らが持つデジタル関連技術を用いて炭鉱会社およびその従業員に生産性や安全性を飛躍的に向上させる「ソリューション」を提供する立場だ。炭鉱分野にせよ自動車分野にせよ、企業向けビジネスではウィン・ウィンの関係の構築を強く意識するというファーウェイの考えに「ブレ」はない。

■「顧客のその先の顧客」のことを周到に配慮

ファーウェイが強調するもう一つの理念に「顧客最優先」がある。顧客のニーズに「最適解」を提供してこそ、ビジネスを成立させ維持していくことができるとの考えだ。自動車関連では、もちろん顧客企業である自動車会社の要望にしっかりと応え、さらには自ら提案をすることを考える。

今回の展示では例えば、自動運転技術についてで「プラットフォーム化と標準化で自動運転産業のエコシステムを構築」などが強調された。つまり、顧客企業のビジネス戦略を念頭に入れた提案だ。

しかしそれだけではなかった。ファーウェイの場合には「自動車を購入して使う人」、つまり「顧客企業にとっての顧客」のことを極めてよく考えた提案をしている特徴があった。つまり「これからの時代」において、人々が自動車に何を求めるかについての考察も示された。例えば、家族でドライビングをして父親が運転をする場合についての具体的な分析だ。父親が第一に求めるものは「安全で快適な運転のはず」とした。助手席には母親が座るとする。手が空いているので時間つぶしをしたくなる。ただ、夫の運転の邪魔はしたくない。ファーウェイが用意したものは例えば、助手席の前のフロントガラスに投影される動画だ。しかし運転席からその動画は見えない。そして子どもには学習用の教材やゲームを提供する。

運転者や同乗者がお年寄りの場合には、「操作が簡単で高齢者に優しい自動車」が求められるはずだ。逆に技術マニアだったら「新しいテクノロジーと優れたユーザーエクスペリエンス」で得られる喜びや刺激が欲しいだろう。ファーウェイは、これらを実現するために具体的な課題を抽出して示した。ファーウェイはまた、「求められる車」について「エクスペリエンス優先」、「コックピット優先」の理念を打ち出している。

■端末基地局などで培った「極めて高い信頼性」が自動車分野にも生きる

とかく注目される自動運転技術だが、まずは、自動車側の自動運転システムの完成という方向で進んで来た。今後は道路や各種施設などインフラ側との情報通信も、ますます重要になっていく。この情報伝達では、信頼性と速度が極めて重要だ。どちらに問題があっても、重大事故につながりかねないからだ。

ファーウェイ・ジャパン関係者によると、中国国内ではすでに、スマートシティーの建設や高速道路に関連して技術の提供を行っているという。ファーウェイの強みは、端末関連の基地局や太陽光発電など「瞬時たりとも途絶えることが許されない」分野で技術と経験を蓄積してきたことだ。同関係者によると、自動車分野でもこれらの強みを発揮していくという。(取材・構成/如月隼人)

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