<女性の影響力>ガールズ!ビー・アンビシャス!=日本は中韓に劣後―赤阪清隆元国連事務次長

<女性の影響力>ガールズ!ビー・アンビシャス!=日本は中韓に劣後―赤阪清隆元国連事務次長

新型コロナの感染の初期段階では、女性が首相などの政治的リーダーを務める国のほうがコロナの感染拡大を防ぐのに成功していると言われた。

今年(2022年)のタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」には、女性では、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁、俳優・司会者のオプラ・ウインフリーなどが選ばれ、全体の半数近くを女性が占めた。日本人では、2020年に、大坂なおみと伊藤詩織が、2021年には大坂なおみ、大谷翔平、隈研吾が選ばれたのだが、残念ながら、今年は日本人は誰も選ばれなかった。

他方、フォーブズ誌の2021年の「世界の影響力のある女性」ランキングでは、55位に女性初の日本銀行理事となった清水季子氏、59位に小池百合子東京都知事が選ばれている。グーグル、マイクロソフト、ペプシコ、IBMグループなど、アメリカの巨大企業のCEOにはインド系の人物が多いが、ペプシコの前CEOなど、女性も頑張っている。

フランスの高級ブランド、シャネルは、今年1月からグローバル最高経営責任者(CEO)に、インド出身の女性を登用した。インド系の人たちは、英語に堪能であり、理数系に強く、チャレンジ精神豊かで、知的好奇心にあふれ、コスモポリタンで、適応能力が極めて高いと評価される。

◆女性リーダーの方が優秀!?

新型コロナの感染の初期段階では、ドイツ、ニュージーランド、台湾、フィンランド、アイスランド、ノルウエー、デンマークなど、女性が首相などの政治的リーダーを務める国のほうが、コロナの感染拡大を防ぐのに成功していると言われた。2020年12月30日付の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に載った記事によると、効果的なリーダーシップを示す19項目のうち、1項目(技術的、専門的知識)を除けば、女性のほうが男性よりも優秀だという。特に、「イニシアチブをとる」、「他人を元気づける」、「経済よりも人命を大事にする」、「正直である」、「論理的に、上手に話す」「チームワークを大事にする」などの13の項目で、男性をはるかに引き離して優秀であると結論づけている。

しかし、日本に目を向けると、日本女性の地位は、国際的にみて非常に低い。世界経済フォーラムが2021年3月に公表した男女平等ランキングでは、日本は156カ国中120位で、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中でも、韓国や中国、アセアン諸国よりも低いという結果だった。女性の国会議員の数が少ないのと、企業などの管理職の女性の比率の低さ、男女間の賃金格差などが原因のようである。

内閣府の男女共同参画局のデータが、日本における女性の活躍の現状と課題を分かりやすく説明している。衆議院の女性議員比率(2022年、9.9%)は、世界190カ国中166位。国家公務員の上級管理職(局長・審議官級)に占める日本の女性比率(2021年、4.2%)も、カナダ(44.6%)、英(42%)、米(37.1%)などと比べると著しく低い。日本企業の女性役員比率は最近上昇しているが(2021、12.6%)、それでもフランス(45.3%)、イタリア(38.8%)、スエーデン(37.7%)などと比較すると、まだまだ低い。

内閣府の男女共同参加局のサイトには、働き方改革や女性リーダー人材バンクなど、政府が推進する種々の政策が説明されている。推進本部や、会議や、専門調査会、研究会など、いろいろと努力がなされてはいるのは分かる。ただ、データが示すように、国際的な比較をすると、進展のスピードがあまりにも遅い。どうしたら、もっと早急に、女性の活躍の比率を上げられるだろうか?

◆「クオーター制」「ブラインド・オーディション」も一案

奇抜でも良い、いいアイデアが必要だ。例えば、ニューヨーク・フィルの演奏者の採用で有名になった「ブラインド・オーディション」というのがある。オーケストラのオーデイションの際に、審査員の前にカーテンがあり、審査員は演奏者が見えないようにしたら、女性やアジア系の人が選ばれる比率が上がったという。審査員には、白人、男性を優先するバイアスがあったことを示す具体例として知られるようになった。

国会議員の候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオーター制」の日本への導入も、検討はされてきている。世界では、2011年の段階で、87カ国(議員割り当て制17カ国;候補者クオーター制34カ国;政党による自発的クオーター制36カ国)がすでに導入している。「法の下の平等に反する」、「逆差別だ」という反対論もあるが、フランス、ドイツ、ノルウエー、フィンランド、メキシコ、ルワンダなどの導入国で、女性議員の数を大幅に増やす効果を発揮してきたのも事実だ。日本でも段階的に導入を図るべきだろう。

この点、国連など国際機関は頑張っている。国連は、2020年に、幹部レベル(事務次長および事務次長補)で、男女同数を達成した。現在のアントニオ・グテーレス事務総長や、前任のバン・キムン事務総長も、女性の登用には力を入れてきた。バン事務総長の際は、部長以上のポストの候補者は、事務総長自身が最終チェックをして決めたが、審査を担当したパネルから事務総長に届ける候補者リストは3名で、そのうち少なくとも1名は女性でなければならないとのルールが決められていた。女性が含まれていない候補者リストが届いた際は、面接試験のやり直しが命じられた。やはり、トップの意気込みの有無がモノを言う。

◆夢ではない「日本人女性の国連トップ」

国連関係機関で働く日本人職員の数は、2020年末現在918名だが、そのうち女性が573名(62.4%)で、過半数を超えている。国連での仕事が魅力的であること以外に、なぜこんなにも多くの日本人女性を惹きつけるのか。一つには、女性が採用試験などで優秀な成績を残すこと。二つ目には、優秀な女性を惹きつける要因として、ワーク・ライフ・バランスが魅力的なこと。過労死や長時間の超過勤務というのはめったにない。三つ目には、女性に対する差別がないことと、出産や病気の際の恵まれた待遇も、魅力であろう。この二つ目と三つ目の条件は、日本の役所や企業が、大いに改善する必要がある点だ。

女性の活躍を後押しする環境づくりにはまだまだ課題は残っているが、今の若い日本人女性は、以前よりはずっと恵まれた条件のもとにあるのも事実だ。女性だからと言って差別が許されない時代になっているからだ。むしろ、もっと女性をという追い風が吹いている。これから20年〜30年先には、アジアから国連事務総長を選ぶ時期がやってくるから、日本女性が国連のトップの座を狙うということもあながち夢ではない。ガールズ!ビー・アンビシャス!

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