「偽日本ブランド」炎上の背景―中国メディア

「偽日本ブランド」炎上の背景にあるもの

中国の生活雑貨チェーン大手「名創優品(メイソウ)」がスペイン向けにチャイナドレスの人形を「日本の芸妓(げいぎ)」と誤って紹介し、謝罪した。AI財経社は11日、その背景について分析する記事を掲載した。

このほど、スペインの名創ブランド代理店のインスタグラムアカウントが7月25日に「プリンセスシリーズドールブラインドボックス」を紹介する書き込みを行った際、チャイナドレスの人形を「日本の芸妓」と翻訳していた。ネットユーザーから指摘を受けた名創の本社はスペインの代理店に対して当該の書き込みを削除するよう要求するとともに、現地のソーシャルメディア代理運営業者との契約を解消した。

記事は、「本来なら負の世論に対して、企業は誠意を持って謝罪し、過ちを犯した側を懲らしめれば少しは怒りを鎮めることができるはずだ。しかし、名創優品の謝罪声明は一向に効果を発揮せず、海外のネットユーザーから表の顔と内心の不一致を疑われた」とし、「名創優品のさまざまな“日本に媚びた黒歴史”がネットユーザーたちに取り上げられ、関連する話題で火に油を注ぎ、この会社は最終的に炎上状態になってしまった」と伝えた。

米大陸数カ国の名創優品の店舗に行ったことがあるというネットユーザーは、「店に入ると、店員たちは『こんにちは』と声をかけきた。会計を済ませた後には『ありがとう』と言われた。また、名創優品の海外の多くの店舗の宣伝看板には日本発と書かれており、自分は日本ブランドだと主張している」と暴露した。

また、同社の店舗でアルバイト経験のある人物が、同社では店内で中国語曲を流すのを禁止しているとする暴露もあった。これに対し、中国のネットユーザーからは反発する声が多く上がった。さらに、名創がギリシャ、ルーマニア、ブルガリアなど海外の提携先と契約した際、現場に日本の国旗が掲げられていたことが掘り起こされ、その写真がSNS上で拡散された。

記事は、「これを受けて、ただでさえ低迷していた名創優品の株価は再び下落した。このうち、米国株は4.63%安、香港株は7.83%安と急落し、時価総額は150億香港ドル(約2535億円)余りとなった」と伝えた。

中国メディアの「財経天下」が名創の幹部に確認したところ、中国語の歌の放送禁止については否定し、人形の名前に関する件と日本の国旗に関する件については認めた。さらに同ブランドがこれまで「偽日本ブランド」などとやゆされてきたことについて、「初期には社内に日本人デザイナー(三宅順也氏)がいたため、多くの製品のデザインスタイルが日系に偏っていた。そのため、外部からは日本のデザインスタイルを持つブランド、あるいは日本のデザイナーブランドと見られていた」とし、「その後のプロモーションでは、外部からの認識のズレを是正することができず、外国の提携先との契約現場に日本の国旗が掲げられる事態になってしまった。今回、スペインのSNS代理運営業者がチャイナドレスを着たプリンセスを『芸妓』としたのは、代理店が東洋文化を理解していなかったからだ」と主張した。

■中国人の心を傷つけた

記事は、「名創優品は中国ブランドなのか日本ブランドなのか。これがネットユーザーの最大の関心事となっている」と述べ、「多くの消費者がショッピングモールを訪れたとき、何気なく名創優品のお店に入ってしまうことがあるだろう。店では日用雑貨、化粧品、スナック、ミニフィギュアなどのさまざまな商品を売っている。販売価格は高くなく、ほとんどが10元(約195円)前後だ。比較的高い商品は20元(約390円)や30元(約585円)のものがあるが、50元(約975円)以上のものはごくまれである。多くの人はこれを日本のブランドだと勘違いする。なぜなら、その包装が非常に日系っぽいからで、無印良品やユニクロとの区別がつきにくい」と説明した。

その上で、「名創優品が『偽日系』になったのは、2013年に設立されたこの小売企業が意図的に仕掛けた結果だ」とし、「なぜなら、過去の一時期、『偽日系』が中国の新しい消費の潮流であったからだ」と述べた。当時、名創優品を含む中国の多くの消費ブランドは、日本語や日本の関連要素をロゴや包装に使用していた。これについて記事は、「純正の中国ブランドであるにもかかわらず、日本語のロゴと外装が日本のスタイルを好む消費者を急速に引きつけ、消費者の心を占領し、ブランド設立初期に市場を先取りすることができた」と説明した。

記事によると、名創優品の「偽日系」戦略は成功を収めて急速な発展を遂げ、2020年には上場。創業から7年で店舗数は4200店を超え、そのうち海外店舗数は1600店を超え、収入は90億元(約1762億円)に達した。

さらに、5月26日に同社が発表した2022年第3四半期の未監査財務報告によると、その総売上高は23億4000万元(約458億円)だった。そのうち国内の売上高は18億2000万元(約356億円)、海外の売上高は5億2000万元(約102億円)で、中国での売上高が全体の7割強を占めていることになる。店舗についても同様で、今四半期末には世界で5113店舗を展開しているが、うち国内店舗数は3197店舗と6割超を占める。

記事は、「名創優品は中国人からお金を稼いでいるのに、中国人の心を傷つけ、自分を中国ブランドだと認めないことに、ネットユーザーたちは怒り心頭だ」と述べた。

■巨額の損失で資本から見放される

記事は、「注目すべきなのは、『コストパフォーマンスの高い10元ショップ』として中国で稼いでいる名創優品が、現在すでに発展の難局に陥っていることだ」とし、「名創優品の商品価格は相対的に安いため、国際的な大手ブランドと常に製造工場を“共有”しているものの、製品の品質は保証できず、マニキュア、アイシャドウペンなど多くの製品は何度も品質問題が明らかになってきた」と伝えた。名創優品ではこれまでに、マニキュアの発がん性化学物質含有量や、金属製の耳飾りとブレスレットのニッケル放出量と有害元素のカドミウム含有量が基準値を超えるなどの問題が発覚している。

記事はまた、「製品の品質のほかに、名創優品のもう一つの大きな問題はパクリ騒動に陥っていることだ」とし、「名創優品の店内商品の『デザイン性』は、有名ブランドのパクリや国内のデザイナーやイラストレーターの図案をそのままパクったものだと指摘されることが多い」と指摘した。「数々の危機の下、名創優品の業績は色あせ始めている」とし、決算報告のデータを引用。2019年、2020年、2021年の売上高はそれぞれ93億9500万元(約1841億円)、89億7900万元(約1762億円)、90億7200万元(約1776億円)で、同期の帰母純利益はそれぞれマイナス2億9100万元(約58億円)、マイナス2億6200万元(約51億円)、マイナス14億1500万元(約274億円)だった。つまり、過去3年間、名創優品は売上高が伸び悩んだだけでなく、累計で20億元近くの損失を負ったことになる。

記事はその主な理由を「名創優品の1店舗当たりの収益創出力が低下していること」とした。名創優品は過去3年間、1店舗当たりの収入が連続してマイナスとなっている。

記事によると、2021年2月から名創優品の株価は下落の一途をたどっており、10日の取引終了時点で、1株当たりの株価は5.98ドル(約793円)まで下落しており、発行価格と比べて70%減少、ピーク時と比べて8割強急落し、時価総額は18億9400万ドル(約2513億円)しか残っておらず、合わせて100億ドル(約1兆3269億円)近くが蒸発した。このほど開示された米国の機関投資家が四半期ごとに提出する保有株式に関する報告書「13F」では、淡水泉、ジェーン・ストリート、ヘッジファンドのEXODUSPOINT CAPITALなどが名創優品の保有株を一斉に売却した。(翻訳・編集/刀禰)

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