ソウル市、豪雨で死亡事故が起きた半地下住居を禁止へ=「低所得層が路頭に迷う」と懸念の声も

ソウル市、豪雨で死亡事故が起きた半地下住居を禁止へ=「低所得層が路頭に迷う」と懸念の声も

ソウル市が半地下住居禁止へ

半地下住宅

2022年8月12日、韓国・イーデイリーによると、ソウル市が地下・半地下を住居用として使用することを禁止する方針を示したが、専門家からは懸念の声が上がっている。

ソウル市は最近115年ぶりの記録的豪雨に見舞われ、半地下に住む人が部屋に閉じ込められ死亡する事故が発生した。韓国統計庁によると、全世帯の1.6%に当たる約32万7000世帯が地下・半地下に住んでおり、そのうち約31万4000世帯が首都圏に集まっている。

半地下は低所得層が住んでいるケースが多く、国土交通部によると19年基準で地下住居賃借世帯の平均所得は187万ウォン(約19万1000円)となっている。半地下に住む低所得層、非正規職の割合はそれぞれ74.7%、52.9%に達するという。

豪雨により半地下居住民の死亡事故が発生したことを受け、ソウル市は住居用地下、半地下の建築物をなくす方針を示した。住居脆弱層を対象に公共賃貸住居を提供したり、住居バウチャー制度を提案する計画だという。

しかし一部では、半地下がなくなれば低所得層が路頭に迷う可能性があると懸念する声が上がっている。政府が提供する公共賃貸住宅には条件があり、これを満たすには行政区域内で暮らす必要があるが、ソウルなど首都圏は地方に比べて家賃が高く、比較的安い半地下に住むしかない状況だという。半地下の住民からは「半地下に住まざるを得ない理由がある」「半地下がなくなって路頭に迷う庶民はどこへ行けばいいのか」「半地下には公共賃貸住宅の資格条件に当てはまる脆弱階層だけが住んでいるのではない。1ウォンでも節約するために半地下に住む人もいる。あまりに拙速で極端な政策だ」などの声が上がっているという。

専門家は「半地下を一括でなくす政策だけで住居脆弱層を保護することはできない」と口をそろえている。ある専門家は「韓国は住居手当の福祉が不十分。長期的に半地下を減らすのはいいが、単純に半地下をなくすだけの政策では失敗に終わる。福祉が並行しなければならない」と指摘した。

また、現在の住居形態のまま安全面を強化する方向で方針を立てるのが現実的だとの声も上がっている。ある専門家は「ただ単に半地下をなくす政策は、安い賃貸料市場の在庫がなくなるだけ。半地下をなくすより、住居の安全に焦点を当て、建築許可基準を強化するのも1つの方法」と主張したという。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「洪水が起きないように整備することを考えるべき。仕方なく半地下に住んでいる人もいるのに、全員追い出すつもり?」「お金のない人はどうしたらいいのか。政府が家を買ってくれるのか」「これは非常に結果論的な思考。火災で高層マンションに閉じ込められて人が死んだら、高層ビルを規制するの?」など反対の声が上がっている。

一方で「今すぐになくすのは無理があるけど、10〜20年かけて少しずつ改善していくならいいいのでは」「それでもなくすべきだ。地下は人が住むには適していない」「どんなに貧しくてもせめて地下には住まずに済むようにするという政策だよね。悪くはなさそうだけど」と賛成する声も多く、「1階もなくすべき。住居用は2階から」との意見も見られた。(翻訳・編集/堂本)

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