中国で新たに発見された「狼牙へニパウイルス」とは?―独メディア

トガリネズミ

2022年8月13日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国東部で新たに発見された「狼牙ヘニパウイルス(Langya henipavirus、LayV)」の影響について、専門家3人の見解を記事で紹介した。

記事は初めに「狼牙へニパウイルスの存在は、中国とシンガポール、オーストラリアの研究者からなるチームが学術誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)』に発表した論文で明らかになった」「2018〜21年の間に、中国の山東省と河南省で35人の症例が見つかった」「感染者の多くに発熱や倦怠(けんたい)感、せきといった症状がある」「研究チームによると、トガリネズミが天然の宿主である可能性が高いという」など、「狼牙へニパウイルス」の概要を紹介した。

次に、3人の専門家の見解を紹介した。1人目の英ケンブリッジ大学の獣医学研究部門の責任者、ジェームズ・ウッド(James Wood)氏はインタビューに「宿主と直接的に接触したり、宿主に接触した動物を通じて間接的に接触しない限り、感染リスクは高くないが、このようなウイルスは他の致死率が高いウイルスと密接な関係があるので、適切な処置と注意が必要だ」と回答した。

2人目の英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine)で国際公衆衛生学の教授を務めるジミー・ウィットワース(Jimmy Whitworth)氏は、狼牙ヘニパウイルスが、種系では12年に発見された墨江ヘニパウイルスに最も近く、現在特に有効な抗ウイルス薬は存在しないことに言及し、「ヒトへの感染が確認された場合、非常に憂慮すべき深刻な事態となる」と述べた。

3人目のテキサス大学の感染症専門家、ニコラオス・ヴァシラキス(Nikolaos Vasilakis)氏は、現時点でヒトへの感染がなく、症例が極めて少ないことに言及し、「このウイルスが人類にどのような影響を及ぼすかが不明な状況下で評価を下すのは難しい」「ヘニパウイルスの一種ということは、あらゆる種の生物に対する潜在的な感染力を持っており、やがてヒトに感染する可能性は否定できない」「突発的な変異を起こし、宿主から別の生物に伝染した時に適応力を獲得した後に、ヒトに感染することもあり得る」と述べた。

記事は最後に「現在人類に感染することが知られている感染症は、分類上の種で1415に上り、このうち868種(61%)が人獣共通感染症であり、人類が感染する病原体の半数以上は人類以外の動物にも感染する」「新コロナやエボラウイルス、MERSコロナウイルス、ジカウイルスなどは全て人獣共通感染症のウイルスだ」「最新の研究では、狼牙へニパウイルスが人へ感染するエビデンスは出ていないが、絶対とは言い切れないようだ」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)

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