中国で「老人暴走団」が問題に=死亡事故も発生し議論が噴出

中国で「老人暴走団」が問題に=死亡事故も発生し議論が噴出

中国で近年、「老人暴走団」が話題になっている。写真は広場ダンスをする高齢者。

中国で「老人暴走団」が話題になっている。「暴走団」と言っても、隊列を組んでウオーキングなどをする高齢者の集団だ。高齢者による健康維持のための好ましい活動のはずだが、車道を占拠するなどで問題になっている。そんな中、山東省では「老人暴走団」に車が突っ込んで死亡者が出る事故も発生した。

中国で「集団暴走」現象は、かなり前から問題になっていた。2014年には江蘇省徐州市で、暗くなる時間帯に多くの女性が市内の雲龍湖コンサートホール前に集まり、隊列を組んで道路を歩く現象が発生して注目を集めた。人数は多い場合で1万人を超えた。問題視する人も多かったが、警察は「他の市民に迷惑をかけていない」として、寛容な姿勢を示した。

中国ではその他にも、主に高齢者が広場などでダンスを踊る現象が多く発生している。特定の場所を占拠して大音量で音楽を鳴らすなどで、不快を感じた他の市民と衝突する事件も多発した。行進やダンスで集まる人はそろいのTシャツを着用するなどで異様な雰囲気を感じさせる場合が多かったことも、周囲からの反発を招く一因になったようだ。

山東省の「老人暴走団」は、6月には問題視されていた。検察系メディアの正義網は6月16日、同省青島市で高齢者が早朝に隊列を組んで車道を歩く現象が発生していたことについて、「危険な行為」として警察などの取り締まりを求める記事を発表した。

同省臨沂市で7月8日午前5時20分ごろ、車道を歩いていた「暴走団」の列にタクシーが突っ込み、1人が死亡、2人が負傷する事故が発生したことで、この問題についてさらに大きな議論が巻き起こることになった。

銭江日報は12日、「ついに悲劇が発生した」と論評する記事を掲載。同記事は、集団になると車道を歩くことの危険性に鈍感になるとして、交通規則を無視するなどの「暴走団」側の責任を重視。さらに、取り締まりをしなかった警察などを批判した。新華社系のネットメディアである新華網なども同記事を転載した。

一方で、社会における高齢者の境遇を真剣に考えるべきとの主張もある。共産党上海市委員会系の上観は11日、山東省における死亡事故に対してSNSなどで「当然の報い」などとする主張が噴出したことを問題視する記事を発表した。

同記事は、高齢者の多くは現役を退いた後に大きく変化した社会に適応できていないと主張。改革開放にともない、中国でも「ルール重視」の社会的合意が形成されつつあるが、高齢者は考え方を変えることができず、さまざまな面で貧しかった時代の「やった者勝ち」の発想を残していると指摘した。

さらに、ルール無視などで問題を起こした高齢者をののしっているだけでは問題は解決せず、教育や各種活動で高齢者を現在の社会に適応させることについて、政府、社会、各家庭の家族のすべてに責任があるとの考えを示した。

法政日報は13日、高齢者が個人でウオーキングなどをするのでなく、「団」を結成することに注目する記事を発表。「制服」を着用して列を組み、号令を唱えながら競歩のようなスピードで進むのが「老人暴走団」の特色と指摘し、若い家族と離れて生活するようになった高齢者が「社交」を求めることで発生した現象だと分析した。

同記事は、社会における高齢化の進行とともに「老人暴走団」は増加しており、今後も増加すると論じた。当局側が高齢者に対して交通秩序の維持や安全確保を指導すると同時に、ウオーキング専用道路などを整備すれば、高齢者が車道を歩く問題も大幅に減らせるはずとの見方を紹介している。(翻訳・編集/如月隼人)

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